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唱歌のことば今ここに Archive
唱歌のことば今ここに 文部省唱歌「鳩」
- 2009-08-01 (土)
- 唱歌のことば今ここに
唱歌「鳩」は、明治44年(1911年)尋常小学校唱歌1年生の教科書に登場した。タイトルが「ハトポッポ」となる時もあったが、昭和22年(1947年)まで連続して教科書に採用された唱歌の定番だ。
かつてハトは神社やお寺のお堂の軒先など高い所にいてあまり地面を歩かなかった。子供等が縁台で売っている小皿の豆を撒くと降りて来てついばんでいた。
この歌はハトと人間が良い関係であった時代、はるか遠くの地点から巣を目指す伝書鳩も活躍していた時代だ。
古くは飛鳥時代に渡来し伝書鳩として活用されるのは江戸時代になってから。京阪神地方で商業用の連絡に使われていたこともあるが、それも電話等の普及で遠い昔のこと。
いま、この地域では電車の駅やバス停近くに、トバト(カワラバト)が群れて公害となっている。開発により棲家の森林を壊した人間が悪いという人もいる。トバトの原種はヨーロッパや東南アジアなどの崖に住むハト。マンションや駅など、雨を防ぐ崖のような高所が沢山できたのが人間の近くに群棲する理由という説がある。
一方、ハトには「多摩市の鳥」のヤマバト(キジバト)がいる。羽根に金色にも見えるウロコ状の模様があり、1~2羽を団地の斜面などで見た方も多いだろう。このハトはあまり人前に現れないようだ。
白いハトは平和の象徴。人とハトが共存して、歌詞のように微笑ましい関係を作っていけたらと思う。 090801号掲載
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唱歌のことば今ここに 文部省唱歌「菩提樹」
- 2009-07-01 (水)
- 唱歌のことば今ここに
この歌は明治42年に発表され、以来およそ百年もの間歌い継がれてきた。
シューベルトの歌曲「冬の旅」第5曲。作詞はドイツの詩人ミュラーで、その原詩を損なわずに表現したとして近藤朔風の訳詞が定着した。彼は「ローレライ」「野なかの薔薇」「シューベルトの子守歌」などの名訳で知られる。
失恋した若者の、甘く切ない思い出、社会からの疎外感、死の誘惑、ざわめく胸の内、といった難解で普遍的な人の心の中の“原風景”を表現している。
この詩に登場する「菩提樹(リンデンバウム)」は、シナノキ科の落葉高木で30メートルにもなるという。ドイツでは日本の桜のような存在で、街路樹や記念樹として親しまれている木。葉はハート形で、初夏に小さいが甘く香る花を咲かせる。
ちなみに「菩提樹(リンデンバウム)」は “愛と煩悩の象徴の木”だが、釈迦がその木の下で悟りを開いたというクワ科の「菩提樹(インドボダイジュ)」は、いわば“仏教の解脱の象徴の木”。全くの別ものだ。
どちらにしても今の時代、大木(菩提樹)の傍らで物想いに浸る若者が果たしているかどうかは不明だ。 090701号掲載
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唱歌のことば今ここに 「村の鍛冶屋」
- 2009-06-01 (月)
- 唱歌のことば今ここに
唱歌「村の鍛冶屋」は大正元年(1912年)、尋常小学校4年生の歌として発表された。文部省唱歌のため作詞・作曲は不詳だが唱歌の中でもリズミカルで元気のいい歌として長く全国の小学校で愛唱された。
歌詞は当初4番まであったが戦時下の昭和17年、平和を歌う3、4番の歌詞が教科書から削除された。
さらに戦後には歌詞が難しいとして「いっこく者」は「働き者」に、「鐵より堅い」腕は「永年鍛えた」に、「刃物」は「打ち出す鋤鍬」に変えられた。昔の歌詞を知る方には、鍛冶屋を誇りとし勤勉に日々の労働に没頭している、という感がやや失われたように思われるかも知れない。
しかし農業や林業の機械化につれて道具の需要が激減したため鍛冶屋が姿を消していった昭和50年代、槌音を立てて働く光景が児童には想像しがたい、として残念ながら音楽教科書から次第に消えていった(ここでは戦後の歌詞を掲載)。
この地域にもかつては稲城の長沼や坂浜に、多摩は落合や乞田に鍛冶屋があった。日野の三沢には10年ほど前まで露木鍛冶屋があり、近隣では最後まで続いた鍛冶屋さんだった。
※走る「湯玉」(1番)…水で濡らした槌で赤く焼けた鉄を叩く時に、湯が小さな玉になって走り回る様子 090601号掲載
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唱歌のことば今ここに 「青葉の笛」
- 2009-05-01 (金)
- 唱歌のことば今ここに
「青葉の笛」は小学校唱歌とされていたが、実際には明治43年(1910年)に女学校の教科書に登場したという。作詞は2番まであるが、源平合戦で敗れる平敦盛を詠っている1番がよく知られる。
時は平安末期、都を追われた平家は、現在の神戸市須磨に陣を構えた。背後は一の谷の急傾斜で険しい山、正面には海が迫る。夜ごとに平家の陣中からは笛の音が流れ、源氏の武者も耳を傾け聞き入っていたという。しかし戦いは続き、源義経はあろうことか平家の〝不落の陣〟を山上から騎馬で急襲した。敗走し、海に逃れるしかなかった平家軍。一騎で源氏の先頭を切るのは猛将熊谷直実。彼は海岸を逃げる平家軍から反転して来る一騎の武将と戦うことになる。見れば相手は自分の子と同じくらいの年の少年だった。直実は名を尋ねて逃がそうとする。が、しかし少年は名も告げず、逃げようともしない。問答中にも追っ手が近づき、止む無く少年を討った。直実は後に、その少年が平清盛の甥の平敦盛で笛の名手であったと知る。青葉の笛の物語は、白砂青松の須磨海岸で起こった。
源平の合戦が終わってから直実は出家し武士を捨てた。敦盛の菩提を長く弔っていた史実が残っている。
「青葉の笛」は武人であるがための無常感が心を打つ歌だ。なお、敦盛の最期は木々の青葉が眩しくなる少し前の3月20日。 090501号掲載
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唱歌のことば今ここに 「靴が鳴る」
- 2009-04-01 (水)
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「靴が鳴る」は大正8年(1919年)、詩が少女雑誌「少女号」11月号に発表された。
作詞の清水かつら(清水桂)は当時21歳、本郷に住み、勤務先の出版社で「少女号」を担当していた。義母の実家が、今の埼玉県和光市にあるため清水はしばしばここを訪れ、近くの白子川の岸を散策しながら、小学生時代の、野原を歩く遠足の楽しかった思い出を綴った。それが「靴が鳴る」。そして、雑誌掲載より前にこの詞を見た27歳の作曲家弘田龍太郎は作曲を年内に完成させた。
清水作詞・弘田作曲は「雀の学校」や「叱られて」などでも知られるが、中でも「靴が鳴る」は若い二人によって作られた名作だろう。小学校の教科書にも登場している。清水は生前、「たくさんの童謡に囲まれた日本の子どもは幸せだ」と言っていたそうだ。
大正8年といえば、子ども達はまだ着物と細紐の帯が普通の時代。洋服に靴で野原を歩くのは心が弾んだに違いない。また、雪国の子らは長い冬を防寒具で過ごし、雪が消えてやっと見えた地面を靴を履いて歩けるのは待ちに待った春を実感する時だ。
この地域でも野原は少なくなったが、せめて公園や校庭で元気いっぱい遊んでほしい。 090401号掲載
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唱歌のことば今ここに「七つの子」
- 2009-03-01 (日)
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「七つの子」は童謡の代表的作家、野口雨情と本居長世の共作と言われる。大正10年(1921年)童話雑誌「金の船」に歌詞と楽譜が同時に発表された。
童謡「夕焼け小焼け」にも〝♪カラスと一緒に帰りましょ~♪〟と歌われているように、カラスはどこにもいて子供たちにも身近な鳥だった。 また「七つの子」とは七歳の子トリか七羽の子トリかの見解が対立しているが、作詞の野口雨情は七羽の子トリと考えていたようだ。
唱歌「七つの子」が最も知られるようになったのは、昭和29年(1954年)に映画「二十四の瞳」(壺井栄原作、木下恵介監督)にkm、登場してからだった。映画の舞台は瀬戸内海の小豆島。貧しく、戦争に翻弄された時代の12人の子供たちと高峰秀子扮する小学校の先生との交流を描いたもの。ここで主題歌として歌われた「七つの子」は人々の涙を誘うものだった。
カラスは、今ではゴミ袋を食い散らかす厄介者となっているが、もともと利口な鳥なので、人の周りから餌が得られないとなれば昔のように他を探し、人間と上手く棲み分けられるようになるかもしれない。しかし子育て中のカラスには近づかない方が良い。
そういえば、カラスが飛ぶ夕暮れの空を見上げたのはいつのことだろう。 090301号掲載
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唱歌のことば今ここに 「ちょうちょう」
- 2009-02-01 (日)
- 唱歌のことば今ここに
2月4日は立春。蝶々の舞う季節まではもうすぐ。
唱歌「蝶々」は明治14年(1881)、スペイン民謡のメロディに国文学者の野村秋足が作詞して小学校歌集に発表された。この歌にはスズメを歌う2番もあるが、親しまれてきたのはタイトル通り、1番の蝶々だろう。昭和22年には歌詞の一部を改定して1年生の音楽教科書に「ちょうちょう」として掲載された。
心のなごむ歌だが、いまこの地域の蝶々はどうなっているのだろう。かつて都立稲城高校(現都立若葉総合高校)教諭として地域の蝶を調査し、現在は多摩大附属聖ヶ丘中学高等学校の有岡淳教頭によると、同校自然科学部の生徒達は昨年までに地域で50種類の蝶を確認したという。今は殆どがサナギで越冬中だがキチョウ、ウラギンシジミ、キタテハなどは成虫で越冬するため2月の暖かい日には公園などで見つけることがあるようだ。皆が知っているおなじみのモンシロチョウはサナギで越冬しやがてキャベツ畑などに現れる。街路樹のクスノキには黒い羽根に太い青い線の鮮やかなアオスジアゲハのサナギが春の訪れを待っている。
一方、こうした蝶々とは別に、10年程前に藤沢市で心無い人が放った繁殖力の強い外来種アカボシゴマダラが東京に侵入し、この地域にも増え始めた。生態系への影響を懸念して生徒達は調査を続けている。 090201号掲載
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唱歌のことば今ここに 「朝日は昇りぬ」
- 2009-01-01 (木)
- 唱歌のことば今ここに
新年の初日の出。
国立天文台によると日本で一番早いのは、最東端の南鳥島(東京から南東に約1950㎞。東京都小笠原村)の午前5時28分。本土で元旦前後は、千葉県犬吠崎が6時46分。東京地方は都内港区が基準で6時51分という。太陽の上端が水平線(地平線)と重なった瞬間が日の出の時刻。新春のご来光と朝の到来だ。
唱歌「朝日は昇りぬ」は日の出の歌の先駆けと言えるだろう。大正2年(1913年)尋常小学校5年用に「朝の歌」として登場。昭和7年(1932年)に「朝日は昇りぬ」と改題された。作詞作曲者は明らかではないが、海・山・町の生活と朝の活力が伝わる。小学校5年生にしては歌詞が難しく文語体と漢字を使っていたのには驚く。
この後も朝と太陽の歌は数多く作られた。例えばラジオ歌謡の「朝はどこから来るかしら」や、“これこれ杉の子起きなさい”とお日様が声をかける「お山の杉の子」など、元気で希望に満ちた歌だ。日の出と陽光はいつも幸せの象徴だ。
新しい年が始まった。今年こそ希望のもてる一年になりますように。 090101号掲載
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唱歌のことば今ここに「スキー」
- 2008-12-01 (月)
- 唱歌のことば今ここに
西武ドーム球場の横には“狭山スキー場”がある。ここは関東地方で唯一の造雪機による屋内人工スキー場だ。冬季を中心に約半年間はスキーヤーで賑わっている。また本紙にも折りに触れて長野県のスキー場の記事が載るなど、スキー人気は根強いようだ。
小学校の教科書に掲載されたスキーの唱歌は3種類ある。昭和7年(1932年)の「スキーの歌」、昭和18年と22年の「スキー」で、それぞれに作詞者も作曲者も異なる。各世代により覚えたスキーの歌も違うことになるが、定説ではここに載せた18年の唱歌(時雨音羽作詞・平井康三郎作曲)が最も優れていると言われる。この歌には、大自然の中に身を躍らせ颯爽と滑るスピード感や楽しさが表現されている。
もともとスキーは雪の上を滑って進む移動手段であって雪国では生活の一部だった。特に新雪が降り積もった時などは、長靴では足をとられて歩くのに苦労する。皆が誰に教わることなく自然にスキーが滑れるようになっている。幼い頃のミニスキーから始まって、学校の廊下には生徒のスキー板が整然と並んでいた。各学校の校庭にはスキー用スロープもあったものだ。
年々高齢化が進むこの地域でも、若かりし頃、白銀の世界に自らがシュプールを描き、この歌のように♪この身も駆けるよ駆ける♪と生き生きとした記憶を持っている方も多いのではないだろうか。 081201号掲載
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唱歌のことば今ここに 「証城寺の狸ばやし」
- 2008-11-01 (土)
- 唱歌のことば今ここに
「証城寺」のモデルは千葉県木更津にある「證誠寺」。月夜の晩に大勢の狸たちが踊る狸囃子の伝説が残っているそうだ。
この歌は野口雨情・中山晋平のコンビによる名作。
詩人の野口雨情は、大正8年(1919年)現地を訪れたときにこの伝説を知り作詞。題名も、歴史あるお寺が狸に浮かれていると思われても困るので架空の「証城寺」にしたようだ。
歌は大正14年に児童雑誌『金の星』に発表された。最初の歌詞「どんどこ」は「ぽんぽこ」に、「月夜だ月夜だ」は、リズムを考え「つっつっ月夜だ」に、作曲の中山晋平が改めた。
「和尚さんに負けるな」も、“狸の大騒ぎに三味線を弾いて対抗する和尚”という物語が背景にあってなかなか面白い。
狸は昔から人間に身近な動物だ。終戦後の占領時代、GHQに管理されたラジオ放送で流れた「カムカム エブリボディ~」の歌はこのメロディだった。さらに1960年時代にアメリカで流行ったアーサー・キッドの歌う「おなかの空いたアライグマ」は狸をアライグマに変えただけでメロディもそのままだった。
多摩ニュータウン開発に対する抵抗運動を狸に託して描いた高畑勲監督のアニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」はお馴染みだが、現実の狸は害獣化している。
町田・稲城・多摩・日野・八王子では果樹や農作物を荒らすハクビシンやアライグマと並んで狸の被害も大きいと聞く。
しかし、狸囃子の狸はいつまでも可愛らしい動物であって欲しい。 081101号掲載
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