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学園の詩 Archive
学園の詩30 きょうはタケノコ堀り 八王子市立由木西小学校5・6年生
- 2008-05-01 (木)
- 学園の詩
『八王子市立由木西小学校』(菊池晴海校長)は、市内・上柚木のバス通りから通学路を登り高さ30メートルほどの台地にある。
かつて平地にあった小学校が、地元の声も受けて昭和51年にこの鉄筋4階建の校舎に移転したという。児童数は現在1年生から6年生の合計98人。
校地の総面積は33,500平方メートルと広い。校舎の北側は黒松・赤松の茂る森林。南側には校庭に続く大型の竹林とクリ・クヌギ・コナラ・梅などの林が並ぶ。全て学校林だ。
同校は学年別に農作物の収穫と活用を学習に取り入れている。4月23日は5・6年生に恒例の「タケノコ掘り」の日。
午前10時30分。男女35人の児童は手に手にスコップを持ち、先生と用務員のおじさんに導かれて南東部にある竹林に集合した。
地中から芽を出しているタケノコの周囲をスコップで掘りテコのように持ち上げる。児童には竹の地下茎の強さをじかに感じる力作業だ。「取れたぞ」「折れちゃった」などの声が竹林に響いて土中から新鮮なタケノコが次々に姿を現す。
午前中の授業時限は瞬く間に過ぎ去った。みんなで校庭に面した給食室に運び込んだ収穫は大小約80本。
この自然の恵みは給食に活用する。児童たちは口々に「たけのこご飯」や「たけのこスープ」と好きな順にあげていた。
校庭には児童1人に1畳の「子供農園」がありトマト、トウモロコシ、カボチャなどそれぞれに好きな作物を育てている。「去年スイカを植えたら実が変な形でおかしいと思ったらトウガンだった」「給食で食べた」という笑い話や「少し前に学校農園でカタクリの紫色の花が一面に咲いた」「珍しい白色のタンポポの花を見つけた」などの観察も話してくれた。
農作物は正しく手入れすれば成長で答える。自然はウソをつかない。これは確かな教材だろう。
地元の協力も大きい。時には味噌や豆腐など食品づくりの指導役になり、鬱蒼とした森林も地元の有志が山に入ってすっかり整備してくれたという。
休み時間の廊下では小さな1年生の女の子がお姉さんの6年生に抱っこされて話していた。少ない児童数の良さだろうか。
都内屈指の広い校地と四季の変化を知る環境の中で由木西小学校の子供たちは伸び伸びと元気だ。 080501号掲載
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学園の詩29 多摩市立多摩中学校・八王子市立柏木小学校
- 2008-04-01 (火)
- 学園の詩
多摩市立多摩中学校と八王子市立柏木小学校で、年度末に発表会が行われた。学校が良くなることは地域が良くなること。各校の「学校事情」はニュースとして今後も取り上げて行きたい。
多摩市立多摩中学校 三浦摩利教諭 教師道場で「道徳の研究」
2月25日の午後、多摩市立多摩中学校(原島久男校長)では「生徒に深く考えさせる道徳の授業」をテーマに公開授業が開かれ同校の三浦摩利教諭が研究発表を行った。
三浦教諭は平成18・19年度の2年間、東京都の「東京教師道場」第一期生道徳部員として自らの授業力向上の研修を重ねて来た。この日はその研究発表。
教職者が学ぶ道場の一期生道徳部員は都内中学校では三浦教諭と他校の教諭の2人のみ。原島校長は「第一期生として三浦教諭を派遣し本校の更なる充実を図っていくことにした」と語るが、三浦教諭の専門は英語。更に手話の指導も広くお馴染みだが、6年前、教職研究の進路を話し合った時に三浦教諭は自ら道徳の途を選んだという。
折からこの2月に発表された新学習指導要領案では道徳の教材充実と指導の中心となる「道徳教育推進教師」の任命などの新しい方向が明記されている。多摩中学校は道徳の主任教諭も健在だが指導要領に先んじて若い人材育成を行っていたと言えそうだ。
三浦教諭は勤労の尊さを軸として研究発表を行った。そして「道徳とは、自分を知り生き方を考えること、道徳を学ぶことは学校力の向上につながる」と意欲を語った。教室には学外の人々も多数出席し「生徒に考えさせる授業」と好評だった。また稲城市教育長などを歴任した多摩市在住の寺沢史さんや多摩市教育委員の青木禮子さんも聴講し、地元の関心を思わせた。
八王子市立柏木小学校對馬京子教諭を中心に 伝統・文化「邦楽」授業の発表会
伝統・文化の理解と実習に取り組む八王子市立柏木小学校(高濱俊光校長)では、6年前から音楽の授業に邦楽演奏を取り入れて来た。
音楽の對馬京子教諭を中心とする指導で、既に4年生からの筝、5年生からの三味線は定着し、昨年度は新しく6年生に和太鼓・鼓の演奏を加えた。
2月25日の午後、この春卒業した6年生77人による『ミニ・コンサート』が同校の体育館で開かれ、参観する多数の保護者や地域の方々の前で對馬京子編曲「越天楽今様」変奏曲・同「百花繚乱」など、和楽器演奏と作法を学んだ小学校の成果を披露した。
また6年生の25人はこれも同校が伝承する民族舞踊「中野七頭舞」をダイナミックに展開した。
文部科学省の学習指導要領は、伝統・文化の尊重として実態に応じ選択するもののひとつに5・6年生の和楽器指導を挙げているが、2月に発表された改訂案では新しく3・4年生も加えた。柏木小学校は新指導要領に先駆けて4年生が真剣に「箏」の作法と演奏に取り組んでいた。 080401号掲載
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学園の詩28 都立若葉総合高等学校 巣立つ第1期生 学園に論文集を残して
- 2008-03-01 (土)
- 学園の詩
いつしか送り迎えた3年間。今年の春、稲城市の都立若葉総合高校(白仁田哲也校長)では初めて第1期生230人が巣立つ。
同校は入学した1年次からの進路指導により、それぞれに人間探求、芸術表現、伝統継承、情報交流の系列を選択する。生徒の在り方に先鞭をつけた1期生は何を残して去るのだろう。
論 文
昨年の11月29日、同校では全校生徒が出席し生徒の手による「第1期生マイプロジェクト 全体発表会」が講堂で開かれた。これは卒業論文とも言うべき研究の発表会だった。
彼らは1年生の時「産業社会と人間」の授業を通じて将来の夢を探った。2年生では総合的学習の時間を「マイプロジェクト」として各自の設定したテーマに沿って校外の調査にも挑んだ。そして3年目の晩秋はまとめ上げた研究論文の発表だった。登壇人数は限られたが、資料では3年生全員による230のテーマが一斉に発表された。
男女8人の3年生に聞いた。「論文には図表やデザインなども入りますが体験活動をもとに一人でA4の用紙10枚以上にまとめる決まりです」「入学以来積み重ねてきた自分の研究を発表できました」。進路にも役立つ達成感か表情は明るい。
彼らは自分達を自然に「1期生として」と話す。この自覚を想起させたのは教職員各位の指導以外にないだろう。下級生に伝える研究論文は、分野毎に全20冊に製本され学校の図書室に納められた。
清 掃
生徒達は部活の楽しさと共に清掃について語った。「陸上、サッカー、テニスなど野外のスポーツは雪が困るので除雪しますが通学路の掃除もやります」。
これは学校内外の清掃で若葉台駅下の交差点から学校正門まで凸型の階段段差もある長い通学路の清掃。殆ど毎日、運動部主体に約30人の生徒が早出して始業前に除雪はもとよりゴミ拾い清掃もしている。
卒 業
既に8人はこの地域の首都大学東京と国士舘大(スポーツ医学)を始め目標に応じて都区内の大学などに合格が決まった。3年生学年主任の石川浩一教諭の言葉は「どこでも勉強はあたり前のこと。本当の自分を発見し原石を磨いて宝石に高めて欲しい…。1期生はよくやりました」。
3月8日(土)に彼らは卒業する日を迎える。 080301号掲載
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学園の詩(27) 小学校教諭になります 明星大学・日野キャンパスにて
- 2007-11-01 (木)
- 学園の詩
「小学校の先生になる」この目標に進む大学3年生の鈴木琴、柴田奈々絵、佐藤雄士の皆さんと出会った。ここは、多摩モノレールの駅から2段階のエスカレーターで昇る『明星大学日野キャンパス』。構内には、今年4月完成の19階建て27号館が聳え立つ。
小学校教諭の免許は、同校の場合「人文学部心理教育学科教育学専修」を卒業して取得するという。
それぞれに、なぜ小学校教諭を目指すのか。
「小学校の時、いつも笑顔で明るく若い女の先生がいました。自作の人形で劇を教えたり印象に残る先生で憧れです」「学校が好きです。一生の職場を学校にしたいと思います。それと、給食が食べたい。プチトマトが好きで、先生は残す子のものをまとめてくれたり…、思い出が沢山あります」「中学校で先生に恵まれました。ひとりひとりの子供に何を伝えたいのか先生の気持がわかりました。小学校は子供と接する期間が一番長く、1年から6年まで成長の相違に興味があります」。
3人は進路を決めた動機に自分の先生の記憶を挙げた。そして、この表現は同時に「先生とは何か」の奥行きを感じさせた。
明星大学は大学の伝統的な教育方針として「自立と体験」を掲げる。3人は既に小学校で教諭のアシスタントなど各現場を体験してきた。いまの子供について偽りのない印象を聞こう。
「元気がなかった。校庭で遊ぶ子供もいるが、外に出ないでゲームの話に夢中になっている」「先生に敬語を使わない。大人が挨拶やごめんなさいも言わない影響でしょうか」「正直な話向上心がなくウザイとかカッタルイといって何事にも興味がないように見える」。
小学校で先生の抱える課題は多くて厳しい。
「仕事には正面から向き合います。児童の親にも職場の先生にも」「常に笑顔で挨拶を。ダメなことはダメとして、社会人として当たり前のことを果たします」「全てに努力と忍耐力で若さを生かした先生を目指します」。
仕事の困難は覚悟している。自分たちは小学校教諭を志す学生なのだ。眼下に広がる立川八王子の市内と遥かな所沢周辺まで一望に収める27号館最上階の談話室で3人は明るかった。071101号掲載
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学園の詩(26)心の居場所の学校~東京都教職員研修センター研修部授業力向上課 教授 林和男さん(多摩市在住)
- 2007-10-01 (月)
- 学園の詩
平成16年3月6日に行われた都立稲城高校最後の卒業式。答辞に立った生徒は向き合う林和男校長に「みんな学校が楽しかった」と一途な気持を述べ、「夢は正夢」を誓った。これは強く記憶に残る言葉だ。
日頃の林さんは「私は連光寺の土着民です」と言う。多摩村に生まれ村立多摩小学校から多摩中学校。翌年に村は町となり村立中学最後の卒業生となる。都立南多摩高校から東京学芸大学卒業。専攻は「地理」。
職歴も都立小岩高校~永山高校~南多摩高校教諭~大田区教育委員会~北多摩高校教頭(定時制担当)~稲城高校校長~府中西高校校長を経て現職に就いた。文字通り林さんはこの地域に生きる教育者だ。
都立高校にはいろいろな生徒が入学する。まして15~18歳の年齢は男女共に難しい時期。「良し悪しにかかわらず私は生徒を受けとめました。排他的な姿勢を生徒はすぐに見抜きます。生徒は甘ったれてタメ口で先生を試しどこで怒るか知っています」。「生徒を受けとめるのはつらく根気の要ることです。しかし学校は敵を作る場所ではない。生徒には先生が身近な止まり木です。甘えさせ厳しいことは厳しくても、学校に心の居場所があれば安心して話をします」。
林さんは時として方言のソウダベ?の姿勢で生徒を説き、必ず「明日も学校に来いよ」と声をかけた。
校長先生が生徒と距離をおかない。生徒には分かるのだ。「学校は楽しかった」という言葉のわけが氷解する思いがした。
林さんは自分のめざす学校として「①学びたくなる学校②地域の人も保護者も学びたくなる学校③教職員が力を合わせる学校」を挙げた。それは地域のみんなが「オラが学校」として支える学校だ。府中西高校の時に学校が初めて町内会に加入したのもこの現れだろう。
教育委員会を経験する効用など大切な話もある。しかし林さんには全人格を懸けて生徒たちの居場所を学校につくるという姿が窺われた。いま、30歳前後の教諭が授業力向上を学ぶ研修センターの「教師道場」で、後輩の夢を正夢に導く指導者としての日々が続く。 071001号掲載
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【学園の詩25】「救急救命士」への道~国士舘大学体育学部スポーツ医科学科
- 2007-08-01 (水)
- 学園の詩
緊急出動の救急車に乗り現場で最初に生命と向き合うのが救急救命士だ。
『国士舘大学』多摩キャンパスの『体育学部スポーツ医科学科』。ここは救急救命士の国家試験受験資格の取れる指定大学で、地域では学生のボランティア活動も既にお馴染みだ。
7月中旬、4年生の小川拓也・岩村智裕・樺沢亮の皆さんに聞いた。共に高校ではスポーツの選手たち。ケガや講演などで救急救命士の仕事を見聞しその感動が志望の動機となった。
現在4年生は144人で約4分1は女性。「救急救命士の志望者は全体で大体半分くらいです」。
授業は厳しい。一般教養に加え、国の定める必修科目は医学全般の16科目に及ぶ。「救急車は様々なケースの人に対応するので医学全般の知識が必要です」。更に実習がある。1年生は海やプールの海難救助。2年生は雪山と河川。消防署の救急体験。
3年生は病院実習。夏冬の年2回、病院の救命センターで朝8時30分から翌朝9時まで24時間の徹夜勤務を連続5回。「救急車は病院に搬送してその先は見えませんが、この実習は病院内部の措置を知る上で非常に勉強になります」。
4年生は学校常備の救急車で、心臓マッサージ、人口呼吸、電気ショックを与える除細動器(AED)による心拍への手当、器具による気道の確保、条件により出血に対する点滴などの授業を受ける。各消防署で救急車の同乗実習もある。
通報を受けた救急車が現場に到着するまで平均6分強。もし心肺停止の時には60秒ごとに救命率が7~10%ずつ低下する。一刻の猶予もない。
搬送した人の助かる安堵感は言うまでもない。だが人の死に直面するのも冷厳な事実。「病院で看取られて家族が涙する死もある一方、事故等で家族と連絡も取れないままの死もありました」「死と向き合い人の命を助けるのがどれほど大変かを知った時はこの仕事の使命が身に迫る思いでした」。 国家試験は来春4月。「必ず合格して故郷に戻り救急救命士になります」。
なお取材の3日後に「中越沖地震」が起こった。新潟に家のある小川君の夏休みは故郷でのボランティア活動のようだった。070801号掲載
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学園の詩24 日本の伝統文化理解の一側面 箏・三味線の和楽器に触れて 八王子市立柏木小学校
- 2007-07-01 (日)
- 学園の詩

南大沢駅に程近い東南地域の一角に建つ「八王子市立柏木小学校」(高濱俊光校長)。
4階の音楽室には洋楽器と並んで、普通には見かけない10面の「箏」と10挺の「三味線」が並んでいる。音楽担当の對馬京子教諭がかつての教員研修会で和楽器に触れ、その素晴らしさを児童たちに伝えたいと音楽と総合的学習の時間の中に箏の演奏を取り入れてから今年で6年目。17年からは三味線が加わった。
いまになれば、これは日本の伝統文化の邦楽を無理なく導入した学校の叡知と言うべきではないか。
箏の初歩指導は4年生から始まる。次いで5年生の三味線の時間は週2回。1挺あたり4人の児童が交替で三味線の構え方やばちの当て方などの基本を考えながら練習する。對馬教諭のオルガンに合わせて課題曲の『凧々あがれ』の合奏が揃うところまで来た。
6年生は来るべきコンサートへ向かって箏の演奏。曲は音楽教科書に所収の『越天楽今様』。児童からは「お箏を習うのは一生に一度かも知れない。お母さんはいい機会だと言ってます」などの声がある。
練習の成果は3学期の卒業コンサートで保護者や地域の人々の前で合奏を発表するという。
和楽器の扱いと同時に児童たちは、正座、姿勢、初めと終わりに楽器を前に両手をつくお辞儀と礼に始まり礼に終わる所作を学ぶ。「正座やお辞儀の仕方は初めて」という児童たちが授業の中で自然に会得するものは大きいだろう。
今年、柏木小は東京都で「日本の伝統・文化理解教育」推進事業の指定校に選ばれた。
同校は、既に邦楽を始め日本の伝統芸能の「七頭舞」の伝承など7項目にわたる活動実績がある。近くの首都大学東京とは以前から留学生を通じてこれらの活動の国際交流を行って来た。
高濱校長は、同校の伝統的・文化的な教材を再構成して推進する方針で増川知子副校長をリーダーとする教員のプロジェクトチームを発足させた。この方針は6月に保護者各位に伝えられている。改めて地域の協力も始まるだろう。柏木小学校はいま『学園の詩』を新しく創り出そうとしているように見えた。
2007.7.1掲載原稿
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学園の詩(23) 蝶の発見から環境問題へ 多摩大附属聖ヶ丘中高「自然科学部」
- 2007-06-01 (金)
- 学園の詩
『多摩大学附属聖ヶ丘中学校・高等学校(丹伊田敏校長)』の「自然科学部」は、昨年の夏と今年の春、かつてはこの地域にいなかった2種類の蝶を発見し採集した。これは学園のニュースだ。
同校は中高一貫校でクラブ活動の自然科学部はいま高校生9人・中学生20人を数える。
蝶の標本箱の並ぶ生物室で高2の山岸大高部長、野呂佑貴副部長をはじめ部員の皆さんに聞いた。
「学校周辺の蝶の観察は2001年から始まりました。これまでに47種類を確認しています」。学校の裏手は天王森公園で付近にも雑木林が多い。部員は毎週1回、捕虫網を手に出掛ける。4月入学の1年生もすでに裏山で大型のジャコウアゲハなどを採集した。指導は蝶に造詣の深い生物学の有岡淳中学教頭。
そして新しい発見はまず『アカボシゴマダラ』。
昨年8月11日、多摩市と稲城市の境界の雑木林で発見した。もとは奄美諸島の蝶だが数年前に神奈川県の藤沢で中国産のものをマニアが放って神奈川県に棲息していた。それがついに現れた。生徒が発見した時は「在来種のゴマダラチョウと一緒に吸汁していた」。外来種が生態系に与える影響が懸念される。
もう一種類は『ツマグロヒョウモン』。本来温帯性の蝶で近畿地方以西に棲息していたが、数年前から東京にも進出している。
「昨年は学校周辺でたくさん採集しました」。そして今春には蛹と成虫が続けて採集され、多摩ニュータウンでも確実に越冬していることが認められた。
生徒たちが新たに記録した標本は今年9月の学園「聖祭」に展示する。南方系の蝶の出現は油断できない地球温暖化の実証とする研究も発表する。
「中3ではニュージーランドに行きホームステイします。その時の日焼けでオゾン層破壊の南極に近い紫外線の強さを肌身で知りました」。生徒たちには蝶の発見・採集を動機に人類の危機となる環境問題への強い意識展開が窺われた。 2007.6.1号掲載
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学園の詩(22)中央大学航空部~グライダーで飛ぶ青春
- 2007-04-02 (月)
- 学園の詩

上昇気流に乗り大空を舞うグライダー。いま高度600メートル。聞こえるのはただ翼の風を切る音。操縦桿を操作し旋回のペダルを踏む。緊張感の中に遥かな地平線を望んで大学生活に描く学園の詩。
中央大学八王子キャンパスの南西部には広さ約300平方メートル、高さ8メートルに及ぶ鉄筋コンクリート格納庫がある。飛ぶのは埼玉県妻沼滑空場だが学校内に格納庫のあるのは珍しい。機体整備と航空部の拠点だ。
いま部員は20人。3月中旬、3年生の窪田健太郎主将・青山紗千副将と2年生4人の皆さんに聞いた。
航空部は62校加盟の日本学生航空連盟に所属し大学公認の体育会系クラブ。「スポーツや音楽と違って航空部には入学前の経験者がいません。全員初心者のスタートです」「男女の差などありません。ただ体重が100キロを超える人は無理」「基本は自分が教科本で勉強し先輩から教わる。合宿ではミーティングとワンフライト毎に教官の注意を聞きます」。
妻沼滑空場。利根川河川敷を利用したグライダー専用の飛行場で各大学のグライダーを収める格納庫と近くに連盟の合宿棟がある。航空部は連休や休暇期間にここで合宿する。保有機は4機。「前方の滑走路端でウインチ付自動車の巻くワイヤーが機体を曳いて上昇します。全ての無線交信は出発の滑走路端に設けるピットで行います」。
初心者も中大OBの教官が同乗する複座のグライダーで一気に上空を飛ぶ。「空からあんなに周辺が見えるとは思わなかった」「高く飛べば、宇宙飛行士にもなりたい気持ちがして来ます」とは女性部員。“君はなぜ空を飛ぶ?”などの愚問はやめよう。約60回の同乗飛行で、2年生になった頃に単独飛行に移る。空域は半径9キロ範囲。標準高度600メートル。飛行時間平均15分。青山さんには、上昇気流の多い冬、滞空58分の経験があるという。
上空で考え迷うことは許されない。必要なのは現状への集中力だ。窪田主将は言う「頭のいいひねくれ者よりバカでも素直な者が空では優秀です」。青山さんは言う「同じ風は二度と吹きません。一度だけのチャンスを逃さずに上昇気流を捕まえるには勘ではだめです。経験してその日の気象を知れば自分の感覚で分かるようになる」。グライダーは人生の上昇気流を捕えるのと同じに思えた。 2007.4.1号掲載
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学園の詩(21) 苗木の育つ「ドングリ学校」八王子市立南大沢小学校
- 2007-02-01 (木)
- 学園の詩
小学1・2年生の秋、みんなでひろったドングリの実。初めて植えた校庭の苗床でやがて芽を吹き葉が広がった。元気に伸びていつしか高さ50cm。昨年の春、苗木はみんなで公園に移された。いま若木は近づく春に向かって確実に伸びている。その時の児童も今年はまもなく5・6年生の春を迎える。
ここは八王子市立南大沢小学校(稲村正廣校長)。昨年の4月26日、4・5年生の合同作業として最初の苗木120本が学校の南側に広がる都立小山内裏公園に植樹された。そして昨年も11月13日、1年生の学習としてドングリひろいが行われた。
同校は今年度の八王子市環境教育モデル校に指定されている。平成15年秋から国内外の森林づくりを推進する「ニッセイ緑の財団」の後援で「ドングリ学校」が始まり毎年の行事になった。
小山内裏公園には「クヌギ、小ナラ」のドングリが落ちている。2年生の時に初めてドングリをひろい、自分たちで育てた苗木を初めて公園に移植した5年生の三枝佳南、森下ひとみ、田中拓希、吉川正紘の皆さんに聞いた。
「苗床で春、芽が出てからニョキニョキ伸びた。すごく成長する」「畑の雑草とりやウサギの世話の時によく見ていた」「公園ではシャベルで直径10センチ深さ15センチから20センチの穴を掘って苗木を植えジョウロで水をやった」「苗木は3年間で50センチは伸びる。ドングリは早い。自分はいつ伸びるかと思った」「ドングリを苗木にして公園に植えた達成感がある」「木が大きくなったら家族で公園に見に行きたい」。
校庭の一角には畑と共にコンクリート枠で囲まれ年毎に成長の異なるドングリの苗床がある。児童たちは苗木の伸長と自分の成長をいつの間にか比べていた。これは広い校庭と周囲の環境に恵まれた同校ならではのことだ。中村裕子副校長は「草むしりや水やりをしたり観察日記などをつけます。児童と苗木が一緒に育つスパンの長い学習です」と語った。
苗木は学校を離れて、公園南側の斜面に密度濃く植えられた。クヌギの苗木などは5~6年間密集した方がよく育つとは樹木を知る地元経験者の言葉。それ以後の計画や今後も続く児童の活動に新しく応えて行くのは関係者の責務だ。 2007.2.1号掲載
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