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多摩ニュータウンタイムズについて
多摩ニュータウンの入居開始を控えた1969年、新しい街の地方紙(地方新聞)として創刊し、以来、多摩ニュータウン及びその周辺地域(多摩市、八王子市、稲城市)の皆様に最新ニュースや生活情報などを提供してまいりました。今日まで読者の方々をはじめ皆様からのご支援を頂き、おかげさまで創刊40周年を迎えました。 今後ともご愛読を賜りますようお願い申し上げます。 配布エリア:多摩ニュータウンの全域(多摩市、八王子市、稲城市)

ここで… Archive

ここで…  我が街のタイヤショップ (八王子市)

(有)豊栄タイヤ 社長清水豊さん(56)

 真新しいタイヤの匂い。キビキビと動く明るい従業員たち。ここは『有限会社豊栄(ホーエイ)タイヤ』。社長の清水豊さん(56)が起業したのは26歳の時。「モータリゼイションの波に乗った。野猿街道が拡張されて自社ビルも建て、最初の頃が一番稼いだね」。ビルの横にトラック用タイヤ専門店『タイヤ天国』、京王堀之内駅前に『スポーツ館』と事業拡大。「景気の良い時も悪い時もすべて味わった」。スポーツ館は3年半で閉店したが、常に前向き。「進出も撤退も決めたら早い」。若い頃から大の車好きで、もちろんタイヤは『MADE IN JAPAN』の最高品質だ。「乗り心地が素晴らしく、安心感がある」。長距離でも自らハンドルを握る清水さんにとって高級タイヤは不可欠。しかし、最近の節約志向もじゅうぶんに承知している。インターネットなどで取引される低価格のタイヤに驚きつつも、時代の空気を肌で感じ、良いものならば商売に取り入れていく。「週に1度、1キロ先の店まで買い物に行くために車を所有している人もいれば、ドライブが趣味の人もいる。価格も品質も、お客様を満足させるために日々奔走している。気軽に相談してきてほしい」。
 通常、タイヤの寿命は4年で、夏・冬タイヤを使い分けて乗るのが理想とのこと。大きな倉庫を保有しているので『明日は雪の予報だから、すぐに冬タイヤに取り換えて』などの要望にも対応できるのが強み。大型店などは倉庫に輸送しているために、通常1週間ほどかかる。起業当時に生まれた長男の竜一さん(29)との世代交代も順調。「息子は若者の感性に敏感。私は同世代かそれ以上のお客様の担当。うちは二極化で勝負だよ」と笑った。「子どもを行かせるから頼むよ、なんていう電話をもらうとうれしい。タイヤを通じて親子2世代の付き合いになってきている」。来年は創業30周年。記念セールを予定している。また現在、冬用タイヤの早期割引の予約も受付中。
◆八王子市大塚481 帝京大学前豊栄ビル1F ℡042(676)5260 年中無休 営9時~19時  100901号掲載

ここで… 愛されて100年「より安く、より豪華に」 荒井呉服店

荒井呉服店常務取締役 橋本孝さん(75)

 呉服のデパート㈱荒井呉服店は、初代荒井与三氏が開業して今年百周年を迎えた。「呉服屋で百年はそんなに古い方じゃない」と話すのは、常務取締役の橋本孝さん(75)。2代目末男氏の時代に入社し3代目邦彦氏、そして現在4代目社長の芳江氏を支える。
 歴代社長の銅像、豪華な着物の並ぶ老舗。ましてや日本を代表するスーパースター、ユーミンの生家とあればさぞかし敷居が高かろうとドキドキしたが、一歩店に入れば百周年の記念セールで大盛況。気軽に買える値段のゆかたやゲタ、小物が並ぶ。「モットーが『より安く、より豪華に』ですからね。最大限お客様の需要に応えたい」。百年愛され続ける理由は、時代に敏感な柔軟性のようだ。「若い人がゆかたを短くしたり、着物にサンダルを履くのも大賛成。まずは着てもらって、好きになってもらうことが大事」。半世紀以上に渡り伝統文化の織物や染物に通じ、呉服の王道を歩み続けてきた人の言葉だからこそ重みがある。戦後、高度成長期、そして平成の今と八王子商店街も変遷してきた。「織物産業が盛んな頃には、工場に勤める若い女性たちが仕事帰りに商店街をぞろぞろと歩いて原宿みたいだった。すれ違うのに肩がぶつかり合うくらいに混んでいた」。今はマンションが建ち並び景色は変わったが、子供連れの主婦などが賑やかに行き交う。「七五三のお祝いなんかは七歳のお祝いには本裁の晴れ着に肩揚げをして着るとかわいらしい。大きくなったら肩揚げを取ってまた着られる楽しみもある」。5年先、10年先を見て購入するのも着物の喜びの一つだろう。6日(金)から3日間行われる『八王子まつり』では、八日町自慢の山車『雄略天皇』を仕切る雄略会会長でもある。「血が騒ぎますか」。「全然」と笑いつつも、実は1カ月前から早朝ウォーキングで体力づくりは万全。『その先を見つめています』のキャッチフレーズ通り、燦然と輝く歴史と、底知れぬ明るさ、そしてバイタリティがある。
◇八王子市八日町9・8 ℡042(625)5291水曜定休 営業10時~18時半  100801号掲載

ここで… 忘れられない手作りの味 田村豆腐店(八王子市)

 「橋本の方からも買いに来る人がいてね。この辺はちょっと不便で、南大沢駅から出ているバスも本数はそんなにないのだけど」。手土産に、と地元の人が買って持って行った先で「美味しい!」とリピートで買いに来る人がいる。バスを待たず歩く人もいる。
 そんな忘れられない味が生まれる田村豆腐店を訪ねた。野猿街道の旧道にある店は、田村馨(かおる)さん、スミエさん、ご長男の家族経営だ。「ここに来た32年前は、周りは田んぼ、裏は竹林だけだった」というだけあって、今も静かな住宅街だ。正直ちょっと見つけにくい。
 大豆は全て佐賀県産の「ふくゆたか」を使用、水は70m掘った地下水をくみ上げている。防腐剤は使わない。「暖かいところで作る大豆は甘みが多いんですよ」。寄せ豆腐は水にさらさず、にがりで寄せるだけ。「何も足さずに食べてみて」と言われるまま口に入れると、弾力がありながらもふわりと溶け、香りと甘みが豊かに広がる。 
 卸し先は市内の給食センターだ。価格競争や給食費未払いなど取り巻く状況が厳しい中、美味しいものを食べさせてあげたいと願う栄養士さんと連携し、地元の味を届けている。もちろん豆腐だけでなく油揚げ、豆乳、おから等々。お孫さんも豆腐が大好き。「僕は木綿がいいなあ」と家庭の味に大満足だ。
 馨さんはもともとサラリーマン。脱サラして、当時多摩市にあった豆腐店に弟子入りし、昭和53年に現在の場所に店を構えた。早朝4時起きで、日曜日以外、毎日豆腐を作る。「だって新しいものを食べてもらいたいでしょ」。
 これからの時季、食欲が落ちるが、冷たいものが食べたくなったらタンパク質たっぷりの豆腐はいかがだろうか?冷奴も良いが、温めるなら最初に片栗粉を一つまみ入れるのが秘訣と伺った。煮込んでもスが入らないのだそうだ。
◇住所 八王子市上柚木282・6(多摩センター方面からの場合「上柚木会館入り口」の信号右折) ℡042(676)7339◇日祝日休み18時半迄営業 ※来店の際は保冷バッグ等の持参をお勧めします。 100701号掲載

ここで… 弁天通り商店街の時計屋さん

メガネのいで 井出洋さん(65歳)

 愛着のあるメガネや時計を修理に出しても、部品がないと言われてあきらめていたが、ここに持って行ったら直してもらえた!そんな評判を聞いて訪ねてみたのは創業42年の『メガネのいで』。よみうりランド駅前で今も頑張る弁天通り商店街の真ん中にある。
 店主の井出洋さん(65)。開発が進み大型店舗が次々と進出しても、ドアを開ければそこに『職人』がいてくれて、何でも相談できるのが最大の魅力。頭痛など全身の健康にも影響する、合わないメガネや、肌荒れの原因にもなる時計のバンドに関することも、マニュアルを超越した技術と長年の経験で適切に対応してくれる。店内で目を引くのは壁に飾られた巨人軍選手たちのサイン。「長嶋親子のサインが一番の自慢」。大の巨人ファンの井出さんは若い頃から多摩川練習場、よみうりランド球場、後楽園、東京ドームと足繁く通った中で手に入れた貴重なコレクションだ。小さい頃から友達がやっているのを見ているだけだったから、解説はうまいですよ」。北海道登別市出身で、幼少時代から歩行が困難。学校までは友人たちがそりで連れて行ってくれた。明朗な井出さんは、友人に囲まれた学校生活を送っていたが、常に自分には何ができるのか、を考えていた。親から言われたある一言がきっかけだった。「勉強なんかできなくてもいい。砂浜で穴を掘れればいい」と。実際にやってみたら全然できなかった。時計職人を目指す。雪に覆われた土地で松葉杖が滑ってしまう経験から「温かい土地へ行って自立するぞ」と上京。新宿や聖蹟桜ヶ丘で腕を磨き、梨の白い花が一面に咲く頃、稲城のここで店を構えた。「車が一番のバリアフリー」とスポーツ観戦、カーフェリーで帰省もする。野球、サッカーワールドカップ、故郷の友人たちの話…。生命力あふれる雰囲気がお客さんをひきつけるのかもしれない。6月10日は『時の記念日』。歴史ある弁天通り商店街は、今日も確かな時を刻んでいる。
◆稲城市矢野口1687ペアサイドマンション1階 ℡042(377)7834  100601号掲載

ここで… 心を込めて和菓子づくり(多摩市)

御菓子司 風林堂  平島啓一さん(71)

 多摩市一ノ宮の小野神社参道沿いにある和菓子店『風林堂』。店主の平島啓一さんの一日は朝5時の仕込みから始まる。ボイラーに点火し小豆を煮て、その隣では米を蒸す。大量の注文が入ったときには午前3時の開始となる。開店に合わせて、だんご、大福、酒饅頭などが作られていく。
 店の創業は昭和44年、多摩ニュータウンの歴史と重なる。店名は平島さんの出身地である山梨県の武将武田信玄の軍旗「風林火山」に由来する。勇ましい由来に反して、「ふうりん」という響きはやさしく、店主の人柄はたいへん穏やかだ。
 平島さんは和菓子の老舗『榮太楼』で菓子職人として働いた後に独立、京王線沿線の複数の候補地から現在の場所を選んだ。開店当時から街はずいぶん様変わりしたが、お得意様との付き合いは長い。京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店にも店で製造した和菓子を置いている。
 数年前、商工会議所との共同で多摩市の特産品として最中『春蘭の府』が誕生した。皮は新潟にある最中の皮専門店から取り寄せ、小豆は丹波の大納言を用いた。試食を重ね、企画から完成まで3年を要した逸品だ。餡はほどよい甘さで上品な風味、皮は香ばしく歯ざわりがいい。
 平島さんは和菓子の素材にとてもこだわる。和菓子すべてに白ザラメを使い、餅は石臼でどうづきして作る。お店の背後にある作業場は決して広くはない。だが掃除が行き届き、道具は磨かれ40年を経た今でも現役続行中だ。
 かつての職人仲間から情報収集し、夫婦揃って都心のデパートへ市場調査に出掛ける。店主の和菓子への探求は尽きない。奥様は力強くサポートし、二人三脚で心を込めて和菓子を作る。これからの季節は柏餅、草餅、草大福が店に並ぶ。夏のくず桜や水羊羹などの登場もたのしみである。℡042-374-1735 100501号掲載

ここで… 堅い商で49年

富士金物店 長澤克己さん

 昭和35年、関戸で金物屋を開いた。「当時、駅周辺には寿司屋と魚屋があるのみ。多摩村には金物屋がないからと友人に勧められて、農家からの転身で鍋のナの字も分からない状態で始めた」と笑う長澤さん。現在は開店の翌年に生まれた2代目の克己さんが継いでいる。開店当初は鍋・かま・バケツといった生活用品が店頭に並んでいたが、高度経済成長期、建築ラッシュで工具や建築用品が主流商品に変わっていく。バブルがはじけ、長引く不況下、大型量販店やホームセンター、百円ショップ、ネット通販がしのぎを削り安売りの価格競争、デフレスパイラルに歯止めがかからない。「49年やっていて、こんなひどい状況は初めて」と長澤さん。
 職人さんたちも受ける単価が安いとコスト削減を余儀なくされ、金具ひとつでも廉価な方を選ばざるを得なくなってきた。金物店が取り扱う商品の数は膨大、釘、ビス、フック、ナット、錠、鋲、蝶番、その他、数にして4万点以上。釘ひとつにしても鉄、真鍮、銅と素材もいろいろ、工法によってはカラーの釘も使われる。しかも、形状、サイズも小刻みに違いが。個人専門商店がその全てを網羅しストック、さらに価格競争に対抗するのは至難の業だ。個人商店が安価で粗悪な物を販売するにはリスクを伴う。量販店で購入した物が粗悪品であった場合、買った方もどこかで納得しているが、個人商店だと「お宅で買ったのに」と、直クレームになり、店の信用にかかわってくる。“いい物は高い”ということを納得して買ってもらうため会話が重要。「商品知識・使用目的に的確に答えられ、注文を間違えないこと、早い対応ができるよう日々、勉強させてもらっています」と克己さん。教員を目指していたという克己さんの話し方はソフトだが、金物に関しては確たる自信と固い信念が伝わって来る。
 熾烈な価格競争の中で光明は流通経路の変化や建築基準・耐震性など検査をクリアしなければやり直しになるといった状況になって来たこと。いい品質の商品は高い、しかし結果、経済的。消費者も気づき始めている。
箒1本でも丁寧に応対してくれる『富士金物店』、一度のぞいてほしいお店だ。 100301号掲載

ここで… 会話で心を繋ぐ文具屋さん

文具のタイコー 植主昌子さん

 次々と来店するお客さんの様々な要望に丁寧に対応し詳しく商品説明する植主昌子さん。聖蹟桜ヶ丘駅東口1分、桜ヶ丘プラザビル1階にある文具店『文具のタイコー(植主光雄取締役)』、大型ショッピングセンターのそばにありながら、40年ここで文具店を営んできた。植主さんが嫁いで来た昭和38年、駅周辺には田んぼが広がっていた。ご主人は会社員だったが、婚家で美容院、万屋を商い、桜ヶ丘駅周辺の道路拡張工事に伴い、昭和45年、現在の地で文具店を始める。
 各メーカーのブランド力や高い技術・商品の優れた面を紹介し、文具・事務用品、印章、印刷各種、法令等の店頭販売に加え、WebシステムによりОAサプライ、オフィス生活用品を翌日配達する調達サービス「Smart Оffice」も展開している。また大型店では対応しきれないボールペンの替え芯1本、筆耕や宛名書き代筆もしてくれる重宝な街の文具屋さんとして親しまれている。「文具と言ってもその数3万点以上、PC、コピー機ファクスインクも次々と変わり、仕入れ、商品知識も大変、商品説明も一朝一夕では出来ない奥深さがある。衝動買いの大型店に対し、専門店は目的買いが主、使用目的がハッキリしているからこそ納得してもらえる説明を心がける。お客さんに教えられて品揃えをしたり、カタログを見て常に勉強。ブンボウ具ならぬビンボウ具屋ね」と植主さんは笑うが、文具とお客さんとのコミュニケーションをこよなく愛していることが伝わってくる。「小学4年生の時、その頃学校にあった“購買部”の部員になったの。上級生に助けられてのお店屋さんごっこだったけど、お客さんと直接対話する商売の楽しさを知ったの」。
 来店する子どもたちの不作法を親以上に根気良く諭し、お客の健康状態や家庭環境まで気遣い、顔を見て一人ひとりに話しかける。無言で商品をレジに差し出すお客さんも植主さんの言葉に口許がほころぶ。レジ横の募金箱に釣銭を寄付した人には必ず「ありがとう!箱はなんにも言えないから、おばちゃんが代わりにありがとうネ」。
 文房具はお金儲けにはならはない。お客さんに教えてもらい、ニーズに的確に応えていくことが“つながり”になり専門店が存続していく秘訣だと植主さん。 100201号掲載

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