35年間栗の渋皮煮を作り続けた長沢美津乃さん(多摩市関戸在住)は「今年で最後…」と、寂しさと満足感の入り混じった表情で話す。毎年約50キロの渋皮煮を作るために頼みの綱としていた八王子市恩方の栗林が消えるからだ。
手作りの渋皮煮を愛する友人など80人分余りを、長沢さんは大鍋で10回も煮る。9月下旬、その日落ちた栗を求め、その夜から1ヶ月間栗に対峙する日々を家族は見守った。
栗は水に3時間余り浸し、渋皮を傷つけないように鬼皮をむく。重曹を入れた鍋で30分程アク抜きを丁寧に続け、針の細さに出した水道水に栗を一つ一つ当てながら渋皮を爪楊枝で取る。煮崩れを防ぎ食感を良くし、栗まるごとの美しい渋皮煮に仕上るための大切な作業だ。砂糖を入れた大鍋で煮るが、時々火を止めたりを繰り返すことで甘さが徐々に栗にしみ込んでいく。新鮮でよい栗にだけ掛けられる手厚い時間だ。071101号掲載
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