学園の詩(26)心の居場所の学校~東京都教職員研修センター研修部授業力向上課 教授 林和男さん(多摩市在住) 

hayasikazuo071001.jpg 平成16年3月6日に行われた都立稲城高校最後の卒業式。答辞に立った生徒は向き合う林和男校長に「みんな学校が楽しかった」と一途な気持を述べ、「夢は正夢」を誓った。これは強く記憶に残る言葉だ。
 日頃の林さんは「私は連光寺の土着民です」と言う。多摩村に生まれ村立多摩小学校から多摩中学校。翌年に村は町となり村立中学最後の卒業生となる。都立南多摩高校から東京学芸大学卒業。専攻は「地理」。
 職歴も都立小岩高校~永山高校~南多摩高校教諭~大田区教育委員会~北多摩高校教頭(定時制担当)~稲城高校校長~府中西高校校長を経て現職に就いた。文字通り林さんはこの地域に生きる教育者だ。
 都立高校にはいろいろな生徒が入学する。まして15~18歳の年齢は男女共に難しい時期。「良し悪しにかかわらず私は生徒を受けとめました。排他的な姿勢を生徒はすぐに見抜きます。生徒は甘ったれてタメ口で先生を試しどこで怒るか知っています」。「生徒を受けとめるのはつらく根気の要ることです。しかし学校は敵を作る場所ではない。生徒には先生が身近な止まり木です。甘えさせ厳しいことは厳しくても、学校に心の居場所があれば安心して話をします」。
 林さんは時として方言のソウダベ?の姿勢で生徒を説き、必ず「明日も学校に来いよ」と声をかけた。
 校長先生が生徒と距離をおかない。生徒には分かるのだ。「学校は楽しかった」という言葉のわけが氷解する思いがした。
 林さんは自分のめざす学校として「①学びたくなる学校②地域の人も保護者も学びたくなる学校③教職員が力を合わせる学校」を挙げた。それは地域のみんなが「オラが学校」として支える学校だ。府中西高校の時に学校が初めて町内会に加入したのもこの現れだろう。
 教育委員会を経験する効用など大切な話もある。しかし林さんには全人格を懸けて生徒たちの居場所を学校につくるという姿が窺われた。いま、30歳前後の教諭が授業力向上を学ぶ研修センターの「教師道場」で、後輩の夢を正夢に導く指導者としての日々が続く。 071001号掲載

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