平成18年、北海道栗山町で全国初の議会基本条例が制定され、21年度末までに全国で84議会が制定。多摩市でも平成22年3月に可決した。
条例の主な内容は、自治体の意思決定を担う議会の基本原則。市民と共に考え行動する。2元代表制の一翼を担い責任を果たす。討議による合意形成で創造的に意思決定する等、議会運営に関する基本条項を定めている。特徴としては市民が政策提案出来、委員会での発言が可能、また市長が議員の質問に反問出来ることに。議員は政策立案のための調査・視察を行い市民に公表し、政務調査費も公開する等盛り込んでいること。少子高齢化と財政危機の下、既存の事業の縮小・廃止を決めるマイナスの役割を果たし住民の納得を得るために議会改革は喫緊の課題だ。地域主権・市民主権を謳う阿部市長と議会はこの条例を生かし、住民と共に歩む合議体としての市議会に生まれ変わることが出来るか。

神津さん
地方分権改革・地域主権は、何となく耳触りが良く聞こえるが、多くの市民はこれによって具体的に何がどのように変わるのか、まちがどのように良くなっていくのかと思っているのではないか。
多摩市議会は3年前に、「議会基本条例制定を目指す・議会改革特別委員会」を13人の議員で発足させ、この3月定例議会で、東京都の基礎自治体としては初めての条例を、全員一致で可決し告示した。目下関連規則などの検討がされ、終わり次第、執行の段階になっている。
議員自らが議会を改革する意気込みで、市民参加の出前委員会を、1回目は3会場で、さらに市民対話を身近にきめ細かくと、市内9会場で丁寧に開催した。参加市民は少なかったが、その積極的な姿勢には市民も拍手を送ったと思う。
条例は作られた後、きちんと運用されていけば意義あるものになる。出前委員会では市民の圧倒的関心事は実は「議員の定数・報酬」だった。ところが制定された条例では別途定められている既条例そのままになってしまっている。ここで謳われた精神が今後、どう具現化されるのか見守りたい。
この条例で最大の目玉は「市民参画」にある。本議会や委員会おいて市民の意見開陳や政策提案を可能にしているが、そのハードルが高すぎるのだ。それらのことが現在自治法で定められている旧態依然とした「請願」「陳情」よりも市民にとって容易で身近なものにならなければ、折角の条例も全く光り輝かない。今後は市民参加をもっと容易に、市民が主役となるような進化した条例運用を願うのみ。
この多摩市議会基本条例について、最近のシンポジウムで福島さん(中央学院大学教授、前我孫子市長)からは、概ねは良くできているが肝心の議会への市民参加において「市民が正式な場へ容易に出られる」配慮に欠けるとの評価を受けた。この点においては「片山さん(前鳥取県知事)のいう“アクセサリー条例”となっている」と、烙印を押されてしまった。
市民もそうだ。分権改革の今、まちのことを決定する議会に容易に参画できるようになっても、その主張に責任を持ち前向きでなければ、条例は形骸化してしまい地域主権への道は遠くなる。
国と違って、自治体では議員も市長も直接市民が選ぶ。その議会の決定が真の民意の反映となっているのか、この条例が主眼としている議会の討議・公開・市民参画によって、議会を通じる間接民主主義の危うさを見抜けるような市民力発揮の“場”となることを期待したい。多摩市議会ウォッチングの会 代表 神津幸夫 100701号掲載
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