唱歌のことば今ここに 「蛍」

 井上赳作詞・下総皖一作曲の文部省唱歌「蛍」は昭和7年(1932年)尋常小学校3年生の新訂教科書に登場した。「蛍の光」や童謡の「~ホタル来い」などホタルを扱った歌は多く唱歌「夏は来ぬ」には2回も“蛍飛び交い”の歌詞が出てくる。夜、水辺を蛍がほのかな光を放つ情景は初夏の象徴だったようだ。
 世界に蛍は2千種もいるというが、日本では5~6月に見られるゲンジボタルや小型のヘイケボタルが多い。蛍が光るのは、外敵を脅かし食べられるのを防ぐ自衛のためという。幼虫は水中で巻貝のカワニナを餌に9カ月を過ごすが、蛍になると夜露の水だけで餌はとらない。平均してオスが3~4日、メスも5~6日の命で、長くても2週間と言われる。はかない自然の摂理だ。
 「蛍」は、清流にメダカが泳ぎ夕暮れに蛍が飛び交う環境があったことを告げている。この時季、地域でも探せば蛍に出会える場所がある。驚かせないようにそっと行ってみませんか。 100601号掲載

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