ここで… 弁天通り商店街の時計屋さん

メガネのいで 井出洋さん(65歳)

 愛着のあるメガネや時計を修理に出しても、部品がないと言われてあきらめていたが、ここに持って行ったら直してもらえた!そんな評判を聞いて訪ねてみたのは創業42年の『メガネのいで』。よみうりランド駅前で今も頑張る弁天通り商店街の真ん中にある。
 店主の井出洋さん(65)。開発が進み大型店舗が次々と進出しても、ドアを開ければそこに『職人』がいてくれて、何でも相談できるのが最大の魅力。頭痛など全身の健康にも影響する、合わないメガネや、肌荒れの原因にもなる時計のバンドに関することも、マニュアルを超越した技術と長年の経験で適切に対応してくれる。店内で目を引くのは壁に飾られた巨人軍選手たちのサイン。「長嶋親子のサインが一番の自慢」。大の巨人ファンの井出さんは若い頃から多摩川練習場、よみうりランド球場、後楽園、東京ドームと足繁く通った中で手に入れた貴重なコレクションだ。小さい頃から友達がやっているのを見ているだけだったから、解説はうまいですよ」。北海道登別市出身で、幼少時代から歩行が困難。学校までは友人たちがそりで連れて行ってくれた。明朗な井出さんは、友人に囲まれた学校生活を送っていたが、常に自分には何ができるのか、を考えていた。親から言われたある一言がきっかけだった。「勉強なんかできなくてもいい。砂浜で穴を掘れればいい」と。実際にやってみたら全然できなかった。時計職人を目指す。雪に覆われた土地で松葉杖が滑ってしまう経験から「温かい土地へ行って自立するぞ」と上京。新宿や聖蹟桜ヶ丘で腕を磨き、梨の白い花が一面に咲く頃、稲城のここで店を構えた。「車が一番のバリアフリー」とスポーツ観戦、カーフェリーで帰省もする。野球、サッカーワールドカップ、故郷の友人たちの話…。生命力あふれる雰囲気がお客さんをひきつけるのかもしれない。6月10日は『時の記念日』。歴史ある弁天通り商店街は、今日も確かな時を刻んでいる。
◆稲城市矢野口1687ペアサイドマンション1階 ℡042(377)7834  100601号掲載

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