建替えいよいよ始動 多摩市諏訪2丁目住宅(分譲)

 3月28日、旧住宅公団が分譲した多摩市諏訪2丁目住宅建替え決議案が92%で可決された。老朽化等を理由とした大規模な分譲団地建替えは、多摩ニュータウンでは初めてとなる。「一括建替え」の形をとり、計画では現在5階建23棟の団地(640戸)を、14階11階合わせて7棟(1235戸)にし、間取りも現在の一律3DK約49㎡から、様々な広さの住戸を配置することで、あらゆる世代を取り込める集合住宅を目指す。保留床(増加戸数分)は事業協力者である東京建物(株)により販売され、建替えの負担をカバーする。また隣接地域とともに利便性を上げられるよう、団地内に外部の人でも通り抜けられる道を設け、保育所、診療所、コミュニティ・カフェなどを作り、近所づき合いを活発にするような取り組みが盛り込まれている。
 計画では平成25年11月完成、仮住まい期間は約2年半の予定。
  「管理を管理会社任せにせず自主管理でやってきたおかげで、もともとコミュニティの結束力が強かった。駅から近いことで事業採算性が高く、敷地も広いなど建替えのための客観的条件が整っていたことも『建替え決議』成立にこぎつけた大きな要因だ」と諏訪2丁目住宅管理組合広報担当者が切り出してくれた。
 修繕か、建替えかは比較検討されたものの、コンクリートに埋め込まれた古い鋳鉄パイプの取替えに加え、1機2千万円かかるエレベーターの設置、その上耐震補修となると、修繕費の大幅値上げは必須。またそれが全体の約27%を占める賃貸住戸へ及ぼす影響は計り知れず、借り手から敬遠されることは避けられない。賃貸の空戸数は年々増加していたという現実も決議を後押した理由のひとつだろう。
 
 一方、未賛同者で構成される「考える会」会員の坂元克郎さん(83)、そして楠千佳子さん(78)は切実な現状を丁寧に説明してくれた。「きちんと管理すれば数十年もつ建物です。総会に対する異議も出ていて、まだ尾を引きそうです」「終の棲家と決めていた我が家から、病気を抱えたまま引越しをしなくちゃいけないなんて、考えもしなかった。日々生きていくだけでも大変なのに、仮住まいを探して、2度の引越しを手配して…と考えるだけで寿命が縮まる」と訴える。仮住まい費用として捻出されるはずだった1戸につき500万円の話も昨今の金融危機による経済変動によって消え、仮住まい探しは難航しているという。「たとえ2年半でも便利なこの地から離れたくない。でも家賃が高くて住めそうにありません」と悲観的だ。現在70歳以上の高齢者は164人、全体の30%にのぼる。また建替え後の、固定資産税、都市計画税増加はやむなしと思われ、年金暮らしの高齢者には苦痛がのしかかる。高齢者向けの公的融資はあるものの、高齢者は押しなべて借金への抵抗が根強い。とは言え、5月末までには転出するかどうかを決めねばならず決断を迫られている。

 多摩ニュータウンには1981年(昭和56年)の耐震基準見直し以前の物件が現在賃貸で137棟5259戸、分譲が280棟4449戸あるが、右へ倣えの建替えは難しい。補強か建替えかなど思い悩む前に、各自治体で設けている相談窓口を利用して、検討することが重要だ。
◆東京都住宅政策推進部マンション課℡03(5320)5004◆多摩市くらしと文化部住宅課住宅対策℡042(338)6817◆八王子市都市整備部管理課℡042(620)7260◆稲城市まちづくり推進課℡042(378)2111  100501号掲載

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