唱歌のことば今ここに 「野なかの薔薇」

 若葉薫る5月は薔薇の花の季節でもある。近隣では町田市の「野津田公園」や八王子市の「ロザリアン八王子」、調布市の「神代植物園」や「アンジェ」の薔薇が華麗に咲き競う。
 薔薇の花が日本で最初に登場したのは『万葉集』。その時代から原野に自生しており、その頃は「うばら」などと呼ばれていた。初夏の光を受けて無邪気に、しなやかに伸びた枝の深い緑陰、そこに少女のように可憐で健気に咲く薔薇たち。ゲーテ作詞・ウェルナー作曲「野なかの薔薇」は、日本では明治42年(1909年)、近藤朔風の訳詩で発表された。
 原作はゲーテ22歳の頃の作品。野中に咲く薔薇はおそらくゲーテの別れた恋人の面影で、童とはゲーテ自身と思われる。真紅の薔薇の花言葉には、“死ぬほど恋焦がれる”という意味があり、彼はこの詩で自身の自責の念を詠ったのかもしれない。薔薇の花の豊かな表情や芳しさは、今もなお人々の心を捕らえ、魅了する力を秘めている。 100501号掲載

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