脚下照顧 小鳥田晶子

 八王子駅南口に建設中の超高層ビルが、23階辺りまで出来てきた。昨年、基礎工事の頃には、掘削で池のようになり、ここに41階のビルが建つとは信じられなかった◆基礎部分ができてからは、あっという間に上へ上へと延びた。来秋の完成時には、見えなくなるはずの空を見て、その高さを想像する。建設現場の熱気が歩道まで伝わってきて、何分見ていても飽きない◆トラックで運びこまれたコンクリートの塊や、鉄の階段がクレーンで空に吸い込まれていく。ビルの外壁を伝ってエレベーターが上下する。遥か上の足場を軽々と歩く人、現場入口で搬入車を誘導する人の大きな声、まるでショーさながらだ。危険と隣り合わせの緊張感が漂う◆一度出来てしまうと、工事のことは忘れるが、モノレールも、多摩センター駅前の商業施設も、多摩ニュータウンそのものも、長い年月をかけて作られたのだと改めて実感した◆先日行われた、当紙40周年記念事業で、これまで撮りためた写真のスライドを上映した。藁葺き屋根の家を重機で撤去したり、緑の丘陵地帯が、赤茶色の砂漠になる様子には、息を飲んだ◆道路が出来、鉄道が走り、住宅や店が立ち並ぶ。あの、カーンカーンという槌音や、地響きが蘇ってきた。史上最大の開発は、あと少しで完了する◆陸の孤島、人工都市と揶揄された街も、40年という歳月をかけて、豊かな人間関係が育った。仕事、地域行事、ボランティア等で深めた絆で、伝統を守りながら、更に新しいものを生み出そう。    小鳥田晶子091101号掲載

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