大学と地域を結ぶ 大妻女子大学社会情報学部専任講師 谷口 新 「あそばれない遊び場」が教えてくれること

091001 tanigutishin 子どもがよくあそぶ空間とはどのようなものか?‘公園’や住棟の間にある‘プレイロット’と呼ばれる遊び場を調査研究してきました。多摩ニュータウンの諏訪~南大沢までの地域の方々に情報をお聞きしながら、最終的に数百箇所を見てまわりました。
 私の専門は建築計画学。空間の使われ方を調査し、計画・設計の拠り所となる知見を導く研究をしています(‘2DK’という間取り誕生の背景にはこの分野の先達の方々がいます)。
 さて、遊び場の話に戻します。まずは現状把握。一番過ごしやすい季節に延べ150人の大学生と共に、遊び場大調査を実施しました。かれこれ10年前のことです。その結果、利用がない遊び場、即ち「あそばれない遊び場」が調査した中の半分近くも存在することが明らかになりました。
 この「あそばれない遊び場」の特徴は何か。詳細は省きますが、遊具の数が2以下、地面の仕上げが単一材料ではない、入口が少ない、そして面積がある大きさ以下、などです。
 また、忘れてはいけないのは屋外であること。継続して年間の利用を調べると、‘夏向き’‘冬向き’の遊び場があることがわかってきました。子どもが活動する時間帯に夏は日影、冬は日当たりがあると利用されやすい。従って「あそばれない遊び場」はその条件が逆なわけです。住棟や樹木の配置や量などが遊び場への日影・日当たりに影響します。気候等の環境的な視点を加えることの重要性に改めて気付かされました。
 魅力的な遊び場での体験は良き思い出として大人になった時まで残ります。成長し、よそへ越していったかつての子ども達が次世代を育成する場として地域に戻れば、少子高齢化で元気をなくしたまちの活性化に繋がるかもしれません。その意味でも隠れた地域資源である「あそばれない遊び場」を再考・再生する意義は少なくないと思います。
 まちづくりにはソフトとハード両面のバランスが大事なことは言うまでもありません。しかし、残念ながらハード面にかかわる地域資源の基本情報が充実していないように感じます。      
 この夏から、大学では10年間の遊び場の変化をみる調査を学生たちと少しずつ始めたところです。 091001号掲載

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