唱歌のことば今ここに 「故郷の廃家」

091001shoka 「故郷の廃家」は明治40年(1907年)「旅愁」と共に中等教育唱歌として採用された。犬童球溪作詞のこれらの歌は広く親しまれ、昭和40年頃まで教科書に登場したという。
 当時の唱歌にはスコットランドやアメリカの楽曲が導入され、「故郷の廃家」も米国・ケンタッキー州出身の作曲家・ヘイズの原曲に犬童球溪が作詞し、明治時代屈指の名曲といわれた。教育者で作詞家の犬童は熊本県人吉市の出身。師範学校から東京音楽大学(現東京芸大)を卒業し、兵庫県で中学教師を経て新潟高等女学校に赴任した。「旅愁」と「故郷の廃家」は、ここから遥かな故郷に思いを馳せた詞といわれる。
 『故郷』とは何だろう。都会育ちには、故郷がある人が羨ましいという。自然の風景なのか、人なのか。懐かしい人が去ってしまっても山や川は変わらぬ姿で迎えてくれるが、やはりそこに人がいないのは寂しいもの。青く高い空、聳え立つ山、澄んだ空気…。
 ふるさとは遠きにありて思うもの。そして悲しく歌うもの(室生犀星)。 091001号掲載

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