多摩市乞田で、通称“新店”と呼ばれる酒店「森久保」を継ぎ4代目となった森久保康さん(34歳)。
小さい頃、店を切盛りする両親に代わり、祖父から店で仕事をする人が働き易いようにダンボールの扱いひとつにも心配りが必要なこと等を教わり、祖母に伴われお不動様にお参りする度、護摩木に心願を書くようにと言われた。自分の心を理解するためだったのかも、と述懐する。祖父母からは人との向き合い方を教わった。幼な心に、自分が店を継ぐのだと得心。小学4年の作文に書いている。
高校を卒業後パソコンの専門学校に進学、将来どんな業種でも必要なツールだと考えたから。ここを卒業すると、大阪にある酒の専門学校へ。日本酒から洋酒に至る知識の習得に加え、実習では地域の酒店に派遣され丁稚同様に働き経営者としてのノウハウを学ぶ。震災の翌年のことで復興に燃える関西人のパワーに触れ、接客法を学んだことは貴重な体験だった。
近年、大型量販店の進出で個人経営の商店は存続の危機に瀕している。酒のチェーン店に加盟したが、いま一つ。店の展開をどうする…家族で模索する日々。スポーツバーはどうだろう、とニューヨークまで勉強にも出かけたが結局コンビニに行き着く。そのためにはと現在の乞田交差点の角に出店。24時間稼働するコンビニはアルバイトの若者の働きに負うところが大きい。しかし彼らに家族的な待遇を心掛ければかけるほど、その配慮に甘んじてしまう。立場を明確にし、一線を画することを苦渋の中で学んだ。若い人を育てなければ…。バイトで学んだことが将来役に立つように、社会に出て通用する人に育てたい。その思いは市の青少年問題協議会会長会第3地区委員会委員としての活動につながった。職場・地域の教育力、子どもときちんと向き合うことの重要性・楽しさを知る。
小学生の子どもを持つ父として、人を育てる仕事に携わりたいと学習塾の経営も手掛けることに。「関塾」の、経営者は単なる経営者ではなく、“ティーチャー=ドクター”というコンセプトに共感出来たから。
「学習面の向上だけでなく、将来子どもたちの人生に役に立つことを教えていけたら」と。自分が暖かい家庭で育てられてきたことに感謝し、未来を担う子どもたちにも愛情をかけていきたい。偏差値一辺倒でなく人情味溢れる塾は、小田急線「はるひ野」駅前にオープンした。 090901号掲載
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