脚下照顧

 緑の笹に赤や黄色の短冊が揺れる七夕飾りが、梅雨の頃を明るくしてくれている。今年の願いは何と言っても「健康」だ◆楽しみにしていた修学旅行を延期させ、休校に追い込み、日常を狂わせたのは、ウイルスという目に見えない力だった。無差別に人間の生命を脅かす手ごわい相手をやっつける方法は、うがい・手洗い・規則正しい生活で、免疫力を高めるしかない◆恐ろしい兵器は地球を破壊することもできるというのに、うがい・手洗いとは、悔しいような手軽にできてうれしいような◆ちっぽけなウイルスに平和を壊されてなるものか、という気持ちと、人類共通の「敵」の出現によって生活を改善し、更にヒトが進化できるのでは、という希望とがある◆マスクが手に入らなかった時期に、自らの脆弱さを知った。備蓄のマスクがあるのに、買えないとなると、もっと必要なのに、と焦る。一枚もなくて困っていた人に分けたが、その数が適当だったのか、悩む◆主婦の立ち話では、「ブラジャーをマスクに再利用する国があるらしい」などと笑い合う余裕もあった。工夫次第では代用の利くものだったからかもしれない。これが食べ物だったらどうなるのか◆物のない時代の話をおとぎ話のように聞き、もう二度とそのようなことはないと確信していた頬を、ピシリとはたかれたようだ◆延々と広いように感じていた地球という居住スペースも、意外に狭い集合住宅だったようだ。人と人は影響し合って生きている。切実に終息を願う。 (小鳥田晶子) 090701号掲載

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