
かつてはウグイもいた…
「今思い出しても嬉しいのは、小学生の頃、子守りをしながら釣りをしていた時に、30センチはあるウグイがかかったことだよ。この辺りではホンバヤって言ってたね。乞田川じゃなくてこの辺の支流(現在は暗渠になり、上は瓜生せせらぎ散歩道になっている)にも、そんな大きいのがいたんだ。春には真っ赤になるきれいな魚だよ」。
「カニもいたなあ。モクズガニって、毛が生えているのが。モクゾウって呼んでいた。美味しかったぞ。川の横穴にいるのを捕まえるんだ。でも手なんか入れたら大変だ。白い爪で指を切られてしまう。どうやって捕まえるかって?糸の先に鉄の釣り針を結んで、餌(みみずやどじょう)を付けて一晩置いておくんだよ。それで、翌朝捕りに行く。でもすごいやつは、釣り針を爪で折っていたよ」。
「他にウナギやギバチ(なまずの一種できれいな所に棲む)もいたな。ケエボシとかカイボシ(水を掻い出して干す)とか言って、水の流れを変えて水のなくなった川から捕えた。でも、ケエボシはこの辺(支流)じゃないとできない。乞田川で一度やってみたけど、とんでもない。水の量が多かったから、掻いても掻いても水がなくならなかったね。乞田川は蛇行していて、カーブしているところに魚がいっぱい溜まっていた。流れのスピードが弱まるところだからね。中には深さが2~3メートルなんていうところもあったよ。ちょっと雨が降ると増水してね。家の床を高く造った家もあったくらいだ」。
「川の水は本当にきれいだった。鎌倉街道(現在コープ建設中の辺り)に昭和牛乳があったろう?あそこでは、牛乳瓶を川で洗っていたんだよ」。
ずっと貝取に住んでいるというお2人の方に、昔の話を伺った。意外だったのは、こんなに水と親しんだ生活をしていたのに、泳げない、というところ。手を伸ばせば、ちょっと潜れば相手(魚)がいたから、泳ぐ必要性がなかったのか。
「そうだったそうだった」と、一方が語ればもう一方が頷く。お2人は、まるで昨日のことのように話してくださるので、それを聞く私の頭の中に、見たこともない昔の乞田川が流れ込んでくる。人間と魚や川が、あの手この手を使って相手に負けまいとする情景が。
まだまだ話は尽きず、次号は、この辺りにたくさんいたというマムシの話へと続きます。 090701号掲載
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