
孫の気持ちで接しています
老人介護施設の事務長を務める秋山順子さん(28)。大学は建築を専攻、設備関係の会社に就職しマンションの給排水や空調施工・管理等の仕事をしていた。1年後、伯母・両親と高齢者施設を作ろうと全く専門外の分野へ転身することに。ヘルパー2級の資格を取り介護の先進国スウェーデン、デンマークに施設の勉強に出かけた。夜勤やグループホームの体験もし、認知症と一言で言ってもアルツハイマーと前頭葉系の人では症状や行動に違いがあると知る。メモを取りまくり、学ぶべきことの多さに慨嘆もした。高齢者を預かる仕事、「出来るだろうか」。しかし、思い出した。民謡を一緒に習った大好きな祖母が高齢になり介護が必要となった時、寝室を自ら望んで共にし、介護した日のことを。夜中のトイレに付き合い、排泄物の処理も苦にならなかった。深夜に動きまわる祖母のため、就寝する時には祖母の車イスに紐を結び自分の手に括りつけて休んだ日々。社会人になり仕事に追われ体力的にも辛くなってきた時、回りから「充分やったんだからもういいよ」と言われ、やむなく祖母を施設に預けることに。「仕方ない、ごめんね」不本意ながら施設に預ける家族の心情を誰よりも私は理解出来る。施設での祖母の様子を見て「これで良かった」と安堵した。24時間365日続く介護は家族だけでは頑張り切れない、スタッフと環境が整った施設でこそお互いに安心の介護が出来る。
納得のいく施設を作りたい。施設を見学して回り、平成18年、生まれ育った大塚に介護付き有料老人ホームを開園した。心豊かに過ごしてもらいたいとの心遣いが随所に溢れ、「ここなら入れたい」「入りたい」の理想を見事に実現させた施設を作り上げた。「利用者個々の事情に細やかに対応出来るためにスタッフの連携を大事にしています。終の棲家としての場所だから明日があると思わず、今日出来ることをしてあげる、人生経験豊かな高齢の方々から教えられることが多く、孫の気持ちで接しています」と順子さん。
かつて、縁側でお茶のみが出来た地域コミュニティを再現させたい、と施設を開放し地域密着型のホームづくりに奔走している。 090701号掲載
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