みなさんは「キャーの連鎖」という言葉を聞いた事がありますか?昨秋の本学シンポジウム「サイエンスと女性」の中でもご紹介したのですが、今回そのお話から始めたいと思います。
生物教育や環境教育に関わる方たちとお話をしていると、不思議と「子どもの自然に対する興味にはお母さんの影響が大きい」という話になります。実際、子どもが虫などを持ち帰った時、「キャー、何?そんなもの捨ててらっしゃい!」といった反応を示すお母さんも少なくないのではないでしょうか。子どもは興味を持って持ち帰ったのに、母親がキャーと言う。そのうち「これはお母さんが嫌がるもの」という思いから、次第に虫などに対する興味を失っていく。さらに虫を見るとキャーと言うことがいいような気にすらなってくる。そう、それが「キャーの連鎖」なのです。
ちなみに、「女性=虫嫌い」という「きまり」?は昔からあったようです。堤中納言物語という古典の中に「虫愛ずる姫君」という話がありますが、主人公は子どもたちと一緒に虫を集めて喜んでいるという「風変わりな」お姫様です。わざわざ物語になるくらいだから、平安の昔から虫好きの女性は珍しかったのでしょう。きっと、まわりの女官たちはお姫様の集めた虫を見ては「キャー」と騒いでいたのでしょうね…。
一方、私の研究室では、ゼミ生たちが様々な生き物を相手に楽しそうに実験しています。彼女たちを見ていると、「女性=虫嫌い」とか「女子は理科が苦手」といった「きまり」はないという実感が湧いてきます。大事なことは、男女の差ではなく彼女たちが自然に対する興味を持てたということなのだと思います。
これからも子どもたちの心に芽生えた自然に対する興味を育むために、「キャーの連鎖」を断ち切ることを目指し、私たちができることを少しずつ積み重ねていきたいと思っています。
その一歩として、本学に新たに理科教員養成課程を設置し、理科好きの女子学生をサポートすることにしました。昨年同様、夏休みに子どもたち対象の「わくわく理科教室」も行う予定です。
さらに私の中では、(虫嫌いの?)お母さんたちのための理科教室開催という夢も膨らんでいます。 090601号掲載
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