- 2009-06-01 (月) 9:30
- ニュース

起工式で鍬入れを行う森正平理事長
稲城市南山東部土地区画整理組合(森正平理事長)が5月10日、事業区域内で工事起工式を行った。南山東部土地区画整理事業は地権者260人が土地区画整理による整備を検討してきた結果、平均減歩率(地権者の土地が減少する割合)68%となっても事業を進めたいと組合を立ち上げ、平成18年4月設立認可された。21年度より本格的な工事が実施される運びになった。
起工式には地権者始め大成建設㈱、㈱八州、石川良一市長、伊藤達也衆議院議員、小磯明都議、原田恭子都議、岩佐いづみ市議らが出席、工事の安全と進捗を祈願した。
◆南山は京王線稲城駅とよみうりランド、よみうりカントリーに接する市域南端に位置する丘陵地帯の通称で、かつては里山として戦中・戦後は食糧確保のため木を伐採し農地として利用されたこともある。高度経済成長期になると建設資材として“稲城砂”の需要が高まり大量に採取され丘陵の北部の地形は激変。60メートルの落差の崖も。昭和47年には大規模な崩落が起きた。その後南山は、粗大ゴミや廃車、古タイヤ等が不法投棄され荒廃。住宅公団や企業による買収・開発計画もあったが、買収でニュータウン同様土地を失うことを危惧した地権者はこれを拒否。昭和45年には周辺一帯が“市街化区域”に指定され、地権者は固定資産税・都市計画税・相続税等、市街化調整区域よりも重い税を。スプロール化を防ぐためにも、小規模にしても土地区画整理による方法を選択し、組合設立に動く。
◆一方、「豊かな自然を残せ」と平成13年「南山の自然を守る会」(菊池和美代表)が開発反対のウェブサイトを開設。署名を市議会に提出するも、市議会や市民会議での議論を経て、地権者との妥協案「奥畑谷戸地区の西側の住宅地内に雑木林を“コモンズ”として保全する」方向にまとまる。里山コモンズは造成される住宅地の中に“里山付き住宅”を設定し、居住者に宅地と共有地を同時に購入してもらい、市民の力で里山を守る、というもの。石川市長は平成19年の市長選挙でこのコモンズ案を支持。開発中止を訴えた対立候補の岡田隆郎候補(日本共産党推薦)と公開討論で論戦を展開した。
◆平成17年に結成された開発反対の市民団体「稲城の里山と史蹟を守る会」(市村護郎会長 元川崎市議・共産党)を、日本共産党や稲城市議会の会派「市民自治を前進させる会」等が支援。同会は市と都が購入か借用し、遺跡公園の造営をと提案、これに対し市は、87㌶の用地取得のための250億円の費用は賄えないと説明。
◆平成20年に入り開発反対の動きは激化。4月、市議ら5名が集会で問題提起。6月には「南山問題市民連絡会」(安澤春雄会長)が緑地保全と補助金の一時凍結を迫る。市当局は私有地の区画整理で組合も認可されていること・議論の積み重ねがされていることをあげ、また組合も「南山の自然を守る会」との対話プロセスがあることを重視して拒否。マスコミの一部が反対記事を掲載、放送も。昨年8月には市長宛てに脅迫メールが送りつけられるなど、反対運動はヒートアップ。今年2月には「稲城里山元気塾」が電子署名活動を開始し、3月、高畑勲氏がテレビ朝日の番組の中で批判を展開。写真週刊誌FRIDAYが後押し記事を掲載。反対派の市議は補助金支出凍結の動議を提出。市は「現地内の市有地は5%で区画整理事業の結果、道路と公園緑地(18%)として全体面積の約35%の市有地が出来ることから補助金の支出は妥当である」と説明。「稲城の里山と自然を守る会」は環境アセスメントのやり直しを都環境局に訴えるなど様々な反対運動を続行する中、宅地化の実作業が開始された。
土地区画整理組合は「事業認可は3年前におりており、組合設立から測量費、埋蔵文化財調査費、環境アセスメント関係に25億に及ぶ投資がなされ、1日あたりの利息の負担も重い。こうした現状を理解してほしい」と話す。「自然は手入れや管理をしてこそ守られるのでは。“緑”という言葉が黄門さまの印籠のようになっているのはいかがなものか」と組合員。また、開発反対派の中には「ナショナルトラスト方式でみんながお金を出し合い、買い取り・保全していくというアプローチもあったのでは…」と話す人も。
こうした一連の動きを踏まえ、石川市長は「所有者が個人の財産を処分するための組合事業で、地権者の90%が賛同している。ここに至るまでの経緯も法的に問題はない。ニュータウン以上に計画的な街づくりとなるよう支援していきたい」と話している。
※総事業費400億円、都が48億円、市が20億円を補助する区画整理。事業終了予定は平成31年。 090601号掲載
- Newer: 手足のシビレや痛みなど不快な症状に
- Older: 中央大学創立125周年記念「語源を楽しみ日本文化を考える」市民講演会
コメント:0
トラックバック:0
- このエントリーのトラックバックURL
- http://www.tamatimes.co.jp/article/6108/trackback
- Listed below are links to weblogs that reference
- 緑も、開発も… 稲城南山東部土地区画整理事業、「南山の自然を守る会」などが開発に異議 from 多摩ニュータウンタイムズ