明日を拓く 畳店を継ぐ重田邦彦さん(多摩市)

 重田邦彦さん(41歳)、多摩市鶴牧商店街にある重田畳店の3代目だ。店は杉並・高円寺で創業。昭和19年多摩村関戸に疎開で移り住み、父久男さんと伯父さんが開業。その後落合から3年前に鶴牧商店街に。
 邦彦さんは中央大学卒業後パソコンソフトの卸会社に就職、暇をみつけて父の店の顧客名簿の整理を手伝い、固定客の多さに驚く。今も祖父の代からの顧客もいる。多摩には40畳の和室があるお宅もある。父の代で店を閉めたら顧客の皆様にご迷惑をかけることになるのでは…。和室が減り、フローリング全盛の今、畳の将来性に危惧もしていたが、日本の家に畳は不可欠な床材だと確信した。ハイテクからローテクの畳屋への転身に迷いはなかった。親子3代の畳店を継ぐ。
 近年、畳は住宅業の下請けが主流、しかし一般家庭の仕事を再開拓し、畳の良さやメンテナンスを認知してもらいたいと地域密着にシフト。従来のお店のやり方に工夫を凝らす。畳はカーペットのようにお店に陳列されていて、見てすぐ分かり、さっと敷けばいいというものではない、価格や段取りに不安もある。そうした疑問を解決すること。人様の家の中に入る仕事なので、何より信用第一、誠実を心掛ける。これは3代・86年続く重田畳店の家訓としている。
 「畳は古来日本で生まれ日本で育ってきた床材、日本の気候風土に合わせ湿気にも強い、畳床がしっかりしている限り畳表を張り替えるだけで長く使える。リサイクル出来るエコ床材です。二酸化窒素を吸収、部屋の空気を浄化し、畳表のイグサの匂いは心身をリラックスさせるアロマテラピー効果も」と現代の人に忘れられがちの畳の効用も説く。「畳敷きの和室は機能的、昼間はリビングや客間として、座布団を敷けば何人でも座れるし、夜は寝室にもなる。畳は吸音効果もあり心が落ち着き、集合住宅にも最適」と畳の良さを思い出させてくれる。重田畳店では、畳表は全て熊本・広島の国産品にこだわる。これも「畳の良さを実感し長く愛してほしい、畳の仕事はお客さんと長いお付き合いになるから」。
 筆者も最近、畳表張替を依頼した。畳と夫(女房)は新しいほうがいい!は実感だったが、それ以上に邦彦さんたちのテキパキした仕事ぶり(数時間で作業が終わり戻って来た)とイグサの香りに負けない爽やかな対応がうれしかった。 090601号掲載

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