
多摩市貝取のコーヒー・ショッブ『白樺』に展示された工芸品と呼びたい動物や自動車の木製玩具。作者は『アトリエSHO』関口正保とある。
関口さんは製薬会社の研究所に長く勤務した獣医さんだ。夫人と共に八王子市松が谷に住み、昨年満60歳を迎え会社を退職した。近くの子息の家庭には3歳になる女の子と3月に誕生した男の子と、ふたりの孫がいる。
かつて新宿のデパートで開かれた札幌の木工作家・屋中秋谷氏の展示会に立ち寄ったのが縁で、屋中氏を師と思う交友が深まり創作意欲を呼び起こされたという。
本格的に木製の玩具に取り組んだ動機は3年前の初孫の誕生だった。
「生まれる前から孫の玩具を作ろうと思っていました」「遊んだ後はインテリアにもなる納得のいくものを与えたい」。孫の存在が勤務から帰宅した後の関口さんを駆り立てた。
まず厚い板を切り抜き、動物や自動車などの型を作る。最後はそれに車輪を付ける。
「十二支の動物から作り始めました」。獣医として資料調べや動物の生態はプロだが「初めはデザインがうまく行かず何回もやり直しました」。もともと高校の同級生でいまは自らも木彫を手掛ける君江夫人の辛口批評と親類の子供の意見が役立つ。
遊んでケガをしないように木の角や面を取る。動物の尻尾は折れやすいためデザインを工夫する。塗装は幼児がなめても害のない食用の亜麻仁油を使うなど細心の配慮。キリンの首に投げる輪投げは、麻縄の輪のつなぎ目に羊皮を巻く凝った技法だ。
主な木材はブナで車輪は堅いチーク。「新木場の材木店で家内同伴で木目を見て板を選びます」。マンションは一階のため階下への懸念はないが、アトリエの部屋は二重窓にして電動のボール盤・糸鋸・研磨のベルトサンダーを配置。
研磨の時にはマスクを使わずに手製のアクリルケースで囲って粉塵を集塵機吸引する。「潜水艦のような密度の部屋です」と関口さんは笑うがこれは研究職の経験だろう。
「孫を思う気持ちが仕事を支えてくれます」。関口さんは知識と経験・出会いや家族を融合して、新しい価値を創造する団塊の世代の一人だ。※入手等の問合せは『アトリエSHO』℡042(674)0538迄 2007.5.1号掲載
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