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多摩ニュータウンタイムズについて
多摩ニュータウンの入居開始を控えた1969年、新しい街の地方紙(地方新聞)として創刊し、以来、多摩ニュータウン及びその周辺地域(多摩市、八王子市、稲城市)の皆様に最新ニュースや生活情報などを提供してまいりました。今日まで読者の方々をはじめ皆様からのご支援を頂き、おかげさまで創刊40周年を迎えました。 今後ともご愛読を賜りますようお願い申し上げます。 配布エリア:多摩ニュータウンの全域(多摩市、八王子市、稲城市)

たまには多摩語り 暑さをしのぐ【やぐらでの昼寝】

 真夏の日差しが容赦なく照りつける8月の昼下がり。クーラーや扇風機、冷蔵庫は私たちの生活に欠かせない電化製品となっている。だがこのように便利な現代機器がまだなかった時代、どのようにして暑さをしのぎ、夏を過ごしていたのだろうか。そこには自然を活かした当時の人の知恵と工夫があった。農作物の実りを待つ7月末から8月にかけて、農家は田畑の草取りに忙しい。夏休みに入った子どもたちも手伝いに加わり、麦藁帽子に手拭い姿でぐんと伸びた草を刈る。草取りの合間には、井戸でキンと冷やしたスイカを割って一息つく。乾いたのどを潤すスイカの甘い汁は、本当においしかった。暑さがやわらぎ始める午後3時過ぎまでは昼寝の時間だ。庭に作った高さ2メートルほどの櫓(やぐら)の上で涼をとる。この櫓は2本の柿の木と2本の丸太を支柱にして、すのこ状の板を縄で作りつけ梯子をかけたもので、落下防止のために床の周囲には手すりもつけた。木陰を吹き抜ける風はひんやりとし、また高床の下を風がくぐり抜けていくので、昼寝には最適の寝台となった。子どもたちは大喜びで、おやつや宿題を櫓に持ち込んだ。寝転んで見上げれば、まだ青い柿の実や、木から木へ移動する蝉、蜘蛛が巣を張っていく様子などがよくわかり、格好の自然観察の場にもなった。女性やお年寄りは屋敷の中でも涼しく風通しのよい、北側の板の間で昼寝をした。藁葺き屋根は室内を通り抜ける風を冷やし、身体に当たる涼風はとても心地よかった。8月下旬になると、どこの家でも衣類の虫干しが行われた。座敷の柱から柱へ張った綱に、たんすにしまわれていた着物をかけて風を通す。嫁入り衣装や紋付の羽織、袴など色とりどりの衣類が吊るされ、子どもたちは着物の下をくぐりながら、その由来を尋ねてきた。暑い時期はもちろん一年を通して重宝したのは穴蔵だ。家の裏の土手に、高さ約2メートル、5~6坪ほどの穴蔵を作り桑の葉や野菜などを貯蔵した。適度の湿気と温度を保つ穴蔵は、夏場はナスやきゅうり、スイカなどを2~3日ほど保存することができた。夜には、日中木陰や葉の裏で、なりを潜めていたコガネムシやカブトムシたちが、光を求めて電灯の周りに飛んできた。また就寝前には、蚊を避けるために座敷に緑色に染めた麻糸で編んだ蚊帳を張った。縁台に腰掛けて涼んでいると、ホタルが小さな灯を点滅させながら飛び交う。夜のしじまには、ギャッギャッギャッギャッとトノサマガエルの鳴き声が響き渡った。2001.8.1号掲載 

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