たまには多摩語り 【多摩丘陵の動物たち】皇室の食卓を賑わせたのか

 開発前の多摩丘陵は、種の宝庫。たくさんの動植物の棲みかであった。数は激減したものの、現在でも野生の動物が生き続けている。●タヌキ 雑食で野山の穴にすんでいた。夜行性のため、人目につかなかったが、開発が進み山がなくなると、人家の鳥や食べ物を狙って姿を現すようになった。数年前、関戸の民家でトラバサミという仕掛けにタヌキが掛かったこともある。●キツネ 肉食で、行動範囲が広く、一晩で40キロも山の尾根を駆け巡る。「キャーッ、キャーッ」という雄の鳴き声は不気味。「キツネが鳴くから早く寝なさい」と昔の子供は言われたものだ。森の開発で餌の調達が困難になり、民家の家畜を狙う姿が目撃されるようになる。5年前、唐木田駅前の道路でヒヨドリと共に車にひかれたキツネがいた。獲物を持ち帰ろうとしていたことから、子育て中であろうと推測された。また、堀之内の養鶏場ではキツネに盗られるという。●野ウサギ 明治天皇が3度にわたり、連光寺の山でウサギ狩りを楽しまれたことで有名。貴重なタンパク源として皇居の食卓をも賑わしたかもしれない。●キジ 美しい羽をもつキジは、肉も美味しい。戦前まで聖蹟記念館北側にあった鳥獣実験場では、人工孵化によってキジの数を増やし、山野に放していた。当時、そこでは剥製にもしてくれた。●ヘビ 乾いた場所にいる小さなヘビはヤマカガシ。天井裏や家の周りにいる大きなヘビは青大将。ジメジメした場所にいるのがマムシ。しめ縄飾りのモデルでもあるヘビは、子孫繁栄や幸福の象徴である。●コジュケイ チョットコイ、チョットコイと高い声で鳴く、鳩と同じくらいの大きさの野鳥。●サンヨウウオ 由木の川に現在もいると思われる。●イノシシ 発見された縄文時代の遺跡からイノシシを捕獲するための落とし穴がたくさん見つかった。今はいない。●シジミ 清らかな淡水にはたくさんのシジミも棲んでいた。これらの動物たちの絶好の棲みかであった多摩丘陵は、今その姿を変えてしまった。開発が進み、永年棲みなれた多くの動物たちは追われることになり、「平成狸合戦ぽんぽこ」というアニメ映画も登場した。 2000.11.1号掲載

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