森林は地球の温暖化や生命の存続に深くかかわっている。森林を守ることは川や海、そして地球を守ること。しかし、我が国の民有林の現状は、高齢化や人手不足、海外からの廉価な木材の大量輸入による価格低下などで林業は割に合わない事業となり、手入れが行き届かず山は荒れている。
多摩川の源流の民有林も深刻な状況にある。多摩川源流域の山梨県小菅村では「多摩川源流研究所」を立ち上げ、東京農大や東京学芸大の専門家の指導のもと、地元森林組合の支援を受け多摩川流域の人たちが源流の森を守り育てていこうとボランティアとして参加し「森林再生プロジェクト」を展開している。
流域にある稲城市の青少年委員会は青年ワーカーやジュニアワーカーを育成。活動の一環として小菅村の「源流体験教室」に参加している。
加藤翔さん、千葉大学園芸学部 緑地環境学科、環境文化史学研究室在籍の4年生。この春卒業するが、教職単位取得のため、さらに2年間大学で学ぶことを決めた。
加藤さんが稲城市の青年ワーカーとして訪れた小菅村は住民930人の山村。そこには、生まれ育った稲城坂浜がニュータウンとして変貌するなか失った“自然”が手付かずで残っていた。息を呑んだ。小菅村の魅力に惹かれボランティアとして通うこと6年。間伐や枝打ちに汗を流し、森林を守ろうとする人々との交流を通して、地域に根ざした文化を学んだ。
源流での森林や農業・文化・景観を体験することが感受性や創造性、人間形成に大きく影響することを実感。自然と環境を守るためのプロジェクトは幾世代に亘って引き継がれていかねばならない。
子どもたちに本物の自然に接することの素晴らしさを教えよう。源流体験で触れた自然の美しさや水の清冽さを多摩川下流でも取り戻したいと感じてほしい。子どもと関わりたい。人材を育成する一端を担う小学校の先生になろうと決めた。加藤さんのライフワークの次のステージが始まる。 2007.3.1号掲載
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