唱歌のことば今ここに 「証城寺の狸ばやし」

 「証城寺」のモデルは千葉県木更津にある「證誠寺」。月夜の晩に大勢の狸たちが踊る狸囃子の伝説が残っているそうだ。
 この歌は野口雨情・中山晋平のコンビによる名作。
 詩人の野口雨情は、大正8年(1919年)現地を訪れたときにこの伝説を知り作詞。題名も、歴史あるお寺が狸に浮かれていると思われても困るので架空の「証城寺」にしたようだ。
 歌は大正14年に児童雑誌『金の星』に発表された。最初の歌詞「どんどこ」は「ぽんぽこ」に、「月夜だ月夜だ」は、リズムを考え「つっつっ月夜だ」に、作曲の中山晋平が改めた。
 「和尚さんに負けるな」も、“狸の大騒ぎに三味線を弾いて対抗する和尚”という物語が背景にあってなかなか面白い。
 狸は昔から人間に身近な動物だ。終戦後の占領時代、GHQに管理されたラジオ放送で流れた「カムカム エブリボディ~」の歌はこのメロディだった。さらに1960年時代にアメリカで流行ったアーサー・キッドの歌う「おなかの空いたアライグマ」は狸をアライグマに変えただけでメロディもそのままだった。
 多摩ニュータウン開発に対する抵抗運動を狸に託して描いた高畑勲監督のアニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」はお馴染みだが、現実の狸は害獣化している。
 町田・稲城・多摩・日野・八王子では果樹や農作物を荒らすハクビシンやアライグマと並んで狸の被害も大きいと聞く。
 しかし、狸囃子の狸はいつまでも可愛らしい動物であって欲しい。 081101号掲載

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