- 2003-09-01 (月) 10:51
- 【特集】多摩NT30年を検証
◆序
多摩ニュータウンには、解決を要する諸問題が山積しているが、今回取り上げる「建替え」問題も緊急を要する課題の一つである。
1791年第1期の入居に始まり、すでに33年目を迎えた諏訪2丁目団地は1991年に建替え委員会を組織し、この問題に鋭意取り組んできた。
昨年開催された多摩ニュータウン学会シンポジュウム「多摩ニュータウンの再生」において建替え委員会代表の加藤輝雄氏より、取組の現状と課題について発表が行われている。
都内の築年数35年を経過したマンションは約4万戸と推定され、今後建替え問題がニュータウン全体の課題となることは避けられない。この問題解決のパイオニアともいうべき諏訪2丁目の事例をご紹介したい。
◆諏訪2丁目団地の概要
・入居開始 1971年3月・所在地 多摩市諏訪2丁目・敷地面積 6.4ha
・住宅の構造 壁式鉄筋コンクリート造5階建23棟戸数640戸 間取り3DK
・法規制等 1団地の住宅施設建ぺい率10%容積率50%・入居者数約1200名(開設当時約1800名)
◆現在に至る取組の推移
建替えの機運は1988年に有志の会の発足に始まる。当初は子供の成長に従い、もっと広い住宅が欲しいとの要望が強かったが、その後検討委員会によるアンケートの実施、調査研究の後1991年総会決議により正式に建替え委員会が組織され現在に至っている。その間都市整備公団への調査およびコンサルの依頼、一団地住宅規制の緩和などの法制条件改善のため行政との折衝、開発デベロッパー募集など精力的な活動を展開しているが、残念ながら未だ実現の目途がたっていない。
◆背景と特徴・課題
この団地の建替えに関する特徴は、従来のマンションの建替えが全て「等価交換方式」であったのに対して「ゾーニング方式」を採用する点にある。
等価交換方式とは、1棟を単位に余裕のある建ぺい率、容積率を活用して戸数を増やし、剰余部分を転売して利益を挙げ従来の居住者の追加負担をカバーする方式である。2002年の建替え円滑化法の実施により、容積率は150%まで許容されるというプラス面もあるが、昨今の地価の下落、マンションの供給過剰によりこの方式は問題を孕んでいる。
一方ゾーニング方式は、あくまでも1団地(数棟)をまとめて建替えるものであり「建替えゾーン」「土地売却ゾーン」「建替え見送りゾーン」に分け、多様化する住民の意思を尊重して各自の希望により選択可能とする方式である。
この方式の背景にあるのは、この団地が開設以来30年にわたり正に無からスタートして現在の住環境を造り上げた住民の歴史である。管理組合の運営も外注によらず自営であり、全て手造りによるまちづくりを行ってきたといえる。
現在の管理組合理事長小澤満寿雄氏は「この団地には、初期入居の方々をはじめ先輩各位の歴史と夢が満ちている。次の世代にもこのロマンを伝えるためにはゾーニング方式しか考えられなかった」と語っている。
次号ではこの方式を取り巻く周辺条件、問題点、将来展望などについて述べたい。
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