◆団地の建替えに関する一事例
築後30年を経過し老朽化したマンションは、全国で約27万戸と推定される。
諏訪団地に先立ち1968年に入居を開始し、すでに35年を経過した千葉市稲毛海岸3丁目団地は、建替え問題のモデルとして最初のケースといえる。
同団地は、敷地2万5千坪、4・5階建て、27棟768戸の大団地である。
デベロッパーの提案に基づき、諏訪団地と同様「ゾーニング方式」を前提に、2〇〇〇年5月の住民総会に「建替え決議」を提案したが、当時の区分所有法の下では各棟の5分の4以上の賛成が得られず、計画は否決された。
現在は当面の老朽化に対処するため、大修繕を行い、建替えの準備をすすめて次のチャンスを待つという現状にある。
◆法改正による周辺条件の整備
10年後には築後30年以上のマンションが全国で100万戸と推定されるに及び、国もようやく重い腰を上げた。
昨年マンション建替え円滑法が成立し、今年6月改正区分所有法(この改正案によれば、団地単位の建替えは全体の5分の4、棟ごとに3分の2以上の決議で可決される―前述の稲毛団地の事例では、現行法の下では可決されていた―)が施行されて、住民と事業者で構成する「建替え組合」が事業主体として運営できる様になった。
また仮住宅の確保に関して国や自治体の協力を明記し、各種の補助金や高齢者向けの特別融資制度などの優遇措置が新設された。しかし補助金にしても、国の直接援助ではなく自治体が予算措置を講じなければ実効性はないなど、公的サポートはなお不十分である。
◆今後の見通しと課題
前述した通り、諏訪2丁目の建替え問題は現在いまだ実現の目途は立っていない。
全住民の92%以上の建替え賛成の住民意思を背景に、長年にわたり培った町づくりの実績や、12年に及ぶ建替え委員会の活動は法改正や各種の公的サポートを引き出した。しかし経済的不況に加え、マンションの供給過剰やデベロッパーの消極姿勢などの外部要因が隘路となっている。さらに内部的には、住民の高齢化、全員合意を前提に運営したものの個人のリフォーム要請の続出など、内部的にも問題は多い。
建替え委員会代表の加藤輝雄氏も「団地単位の建替えは民間のみでは限界があるのではないか。行政を中心とした公的サポート無しでは実現は困難であり、今後とも行政の規制緩和を中心とした公的支援を望みたい」と語っている。
◆建替えはニュータウン全体の課題
諏訪2丁目の建替えは、一団地の問題ではなくニュータウン全体の課題でありその成否は正にニュータウンの再生、未来に直結している。
すでに建替えの時期にある団地も多く、諏訪2丁目の推移を注視しているといっても過言ではない。
同組合に対する照会や見学も多数あり、多摩市もようやく東京都、都市基盤整備公団との三者協議を始めた。人口減のすすむ多摩市にとっては、行財政診断白書にも明らかな通り住民の減少は税収の減収に繋がる。
公団についても、今後は分譲住宅部門より全面的に撤退し、都市開発に重点的に取り組む方針に変更したが、今後続出する公団の建設した分譲住宅の建替えは、再開発事業の一環として民間のみに委ねることなく、主体的に取り組むべき事業であり今後の推移を注視していきたい。
(本吉 記)
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