- 2003-11-01 (土) 10:27
- 【特集】多摩NT30年を検証
◆英国の田園都市との比較
多摩ニュータウン(以下多摩NTと称する)の都市計画は、英国の田園都市構想に範をとったといわれている。英国の田園都市は20世紀になって爆発的に増加したロンドン市の人口緩和のために、ハワード(1850~1927)によって体系化され、1903年に最初の田園都市として実験的に開発されたレッチワース市によって始まった。
ハワードは田園都市の条件として・計画的に造られる職住近接の自立都市・緑に囲まれた小規模都市・土地は公有、という三条件を挙げている。現在英国内には20数カ所の田園都市が所在するが、いずれも自己完結性を有し人口4~5万名の規模である。
一方多摩NTは、東京の人口に対応し都市のスプロール化を防止するという開発目的は英国と同様であるが、現状は東京のベットタウンとしての位置付けに甘んじている。一つの例として多摩NT内における人口に対する雇用の割合は、レッチワース市が50%であるのに比して、多摩NTでは10%に満たない。即ち近代都市が必要とする「住む、憩う、学ぶ、働く」という四機能のうち、最後の働く場が無いのである。 多摩NTの問題点を総括すると、都市工学的には成功したが、人間工学的配慮に欠けた都市ということができよう。
◆多摩NTの将来展望
現在の不透明、不確実の時代のなかで、我々住民はニュータウンの将来像を如何に描くべきか。「官主導から民主導へ」「中央から地方へ」「ハード重点からソフト指向へ」「ニュータウンからニューシティへ」等々、スローガンは多岐に渉る。
多摩NTには再開発、再生の資源として高度の社会的インフラ(都市基盤)、三百㌶に及ぶ未利用地、知的財産の集積する多くの大学、高水準の知的レベルを有する住民など、居住環境の高さと相まって優れたリソースを有する近代都市である。
要はこの優れた資源を如何に活用するか。それは産学公民(企業、大学、行政住民-NPO)の連携による総合力の結集に外ならない。例えば土地利用の四者共同開発や、ストックを使った再開発、秩序あるベットタウンとして近隣都市との連合化など、バランスのとれたコミュニティの形成を目指せば未来は明るい。
◆連載を終えるに際して
平成13年10月1日号より始まったこの連載も、本号を以て一応終了することとなった。満2年29回に及ぶこのシリーズは、多摩NT開設以来、30年間の総括として企画され、遺跡発掘調査に始まり土地収用、旧地主さん達の土地への思い、未利用地問題、大学と地域との連携、尾根幹線開通、パルテノン多摩、バス交通、建替え問題など30年の歩みを検証してきた。
多摩NTの当面する課題は山積しており、特にコミュニティの形成、伝統文化と地域文化、少子高齢化問題、広域行政への対処、環境対策、情報化社会への対応など、取り上げるべき課題は多い。
このたび弊紙創刊35周年を1年後に控え、新たなキャンペーン企画に引き継ぐため、一応この企画を終了し他日を期したいと考えるものである。
長期にわたり、ご愛読を賜り誠に有り難うございました。 (本吉記)
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