ある大企業の経営者が「携帯電話は便利だ」と言った。緊急の用件は出先でもすぐ連絡がつく。これが本当の使い方だろう
◆京王電車のシルバーシートの前で携帯電話のメールをながめている若い女性がいた。電源を切るように目の前の窓に掲示がある。車内放送が聞こえてしぶしぶ電話機をしまったが、五分も経たないうちにまた電源を入れてメールを眺め出した
◆健康そうな高齢者八人の会合で知ったが、ペースメーカーを使用している人が二人もいた。意外なことで電車・バス内の呼びかけには十分な理由があるはずだ
◆携帯電話を耳に当てたりメールを眺めながら歩く若い人はやたらに多い。なぜこんなに携帯にとり憑かれるのか
◆携帯・パソコンをはじめ人類が経験したことのない半導体の時代に、人間性の喪失と理性の意味をあらためて問うのは哲学の大問題だが、これはともかく、若い人は自分で機器から離れてみる勇気はないだろうか
◆夏休みに一人でも二人でも、ある日数、電話・ラジオ・テレビのない施設や家に泊まって野山を歩き、釣りや農作業、読書しかない生活に挑んだらいい
◆外界との通信・情報を自分で遮断した時間に、なにを思いなにを感じるか。ひま、孤独、不安、苦楽、忍耐、気力。昆虫や蛇、夜の星、そして輝く正午の太陽…。考えるのは自分自身だ。
(岩木 伸)
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