表紙に、「多摩丘陵を背景に水車小屋」が描かれている画集『限りなき人生』。出版したのは、鑓水在住の小泉茂さん(82)。
大正12年、第14代として生まれた小泉さんは旧家の伝統的な家風に育ち、幼い頃から書や絵画などの文化に親しむ環境にあった。
画集には小学校時代からの絵や書があるが、その実力とともに、長い間きれいに保存されていたことにも驚く。
中学に入学した頃には、絵や書に親しむ余裕もなく、毎日軍事訓練。召集令状により、東部第75部隊に入隊。終戦後、東京都住宅供給公社に勤務。30年に渡ってニュータウンの土地買収と管理業務に従事した。退職後、再び絵筆を持つきっかけとなったのは、堀之内にある絵画教室『ハーモニークラブ』(八王子市堀之内)との出会い。「サロン的な雰囲気。生徒同士で批評し合うことができる楽しい教室です」と小泉さん。
以来、水彩画・木炭画・切り絵・彫刻・舞踊と、幅広い創作活動を続けてきた。「これは、まさに小泉さんの自分史ですね」と話すのは、ハーモニークラブ主宰の山本愛子さん。「最初、画集に『老いの灯』という題をつけたら、孫娘に『消極的』と言われてね」と笑顔で話す小泉さんは、3人の曾孫をはじめ、愛情に満ちた家族に囲まれる。
先日、入院したのをきっかけに、「朝起きると、あぁ、今日も一日、無事に過ごせるな、と感謝を感じる」という。また、若さの秘けつは、「次々と予定を立てることかなぁ」と胸ポケットの手帳を見せてくれた。
今年1月、107歳で他界した母のラクさんの口癖は、「くよくよしても始まらない。明日になれば、明日の風が吹く」だったそうだ。
取材を終えると、携帯電話をベルトにつけ、知人の誕生祝会へと足早に向った。
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