【筆舌】このままでは街を支える人が居なくなる

 平和で豊かな暮らしは誰もが望むところではあるが、その望みが叶えられることは難しい、それが社会の現状である。
 ところがわが国は戦後そのような2つのことを手にすることが出来た。
 そして多摩ニュータウンという開発によって一層実感できる状況になったのだ。それが当たり前のように受け止められて、未来を担う子供たちに対してマイナスになるような育て方をしている親のことが問題であると、つくづく思つている。つまり親に危機感がないから、親たちの精神が緩んでしまっていて、生ぬるい状態になっている。
 街の現状は経済的にもまあまあの状態で食べることにも住むことにも困らない。着るものにも困らない。緑の自然にも恵まれている。道路や河川の管理なども住民がしなくても済む、防犯防災についても警察や消防署が身近にあって安全が守られている。
 このような恵まれた街になってきて、後は子供を甘やかす方向に向かって行くしかなくなってしまっている。可愛い子には旅をさせろというが、少子化ということもあって、子供はどんどんひ弱になっている。外の風に当たるのはイヤ。辛いこともイヤ。労働もイヤということになると地域経済も衰退する。
 生活が困難になると自分の責任でないことを声高に言い立てる。
 人はお互い傷つき合って成長し、相手を思いやる気持ちを育てるのである。傷つき合うことを恐れることからは思いやりの気持ちが育たない。
 平和で豊かな余裕ある社会の中で自立した子供を育てることは非常に難しいからである。「何でも整った便利な街では子供に我慢させることは至難の業なのよ」と子供をもつ若い母親の述懐である。
 夢に見た平和や豊かな経済力を手にしたこと、それは素晴らしいことには違いない。問題はそれに慣れてしまっていることである。
 私たちのすべきはこの素晴らしい街や社会を得たことの余裕とエネルギーを、子供たちを過保護に育てること以外に振り向けることであり、そうでなければ新しい街の未来はない、いや日本の未来もなくなる。このままでは新しい街を支える人が居なくなる恐れがある。 080401号掲載

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