石川県・金沢駅と金沢21世紀美術館を結ぶ「アートアベニュー」を彩ろうと、「金沢まちなか彫刻作品・国際コンペティション2006」が開催されて今回で2回目。国内外から470作品の応募があった中、最優秀作品に輝いたのは、稲城市坂浜の三枝一将さん(36歳)。
三枝さんの作品『やかん体・転倒する』は蓋と本体の2つのパーツからなる2mほどの鋳金のオブジェ。この5月から金沢駅東広場バスターミナル内緑地に設置される。金沢市企画調整課では「日常生活品の中にアート性があり、芸術と日常の橋渡しをしてくれるもの。駅の入り口で訪れる人に街の暖かさを伝えられるぬくもりのある作品が受賞の理由」と話す。
三枝さんは東京芸術大学大学院美術研究科工芸専攻鋳金研究分野を修了し、現在は同大鋳金研究室で非常勤講師を勤めている。大学の後輩で奥様の巽水幸さんも鋳金作家で、2人で「いもの道具 みちくさ」としてユニット活動も展開している。
三枝さんの作品は、蝋で原型を作り、鋳型にして焼成し、銅や錫、亜鉛等の融けた金属を流し込む蝋型といわれる技法で、一品ずつ手作りで制作される。こうして生まれる鋳物の質感や存在感は板金などとは違う独特の風合いを備えている。花器や水差しなど、どれも重厚間を持ちながらどんな空間にもおさまりがいい。古い日本家屋でも、北欧風のスタイリッシュなインテリアにも調和する。
神奈川県出身。奥様の友人がアトリエを持っていた関係で稲城に移り住むことに。民家を手直しした坂浜のアトリエ兼住まいも物づくりにこだわった佇まい。このお宅は建築情報雑誌「チルチンびと」(風土社)に紹介された。
「金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション」応募動機は、抽象的な作品からわかりやすく観て愉しめるを大事にし新しい試みに挑戦しようと思ったこと。「観て下さる人とのコミュニケーションを大切にしたい」と三枝さん。
三枝さんの挑戦は金沢で認められた。北陸を旅する事があったら駅の広場に足を向けてみよう、大きなやかんがあたたかく迎えてくれる筈だ。080401号掲載
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