筆舌 横倉舜三 中国産冷凍ギョーザ事件に思う

 私たちの食卓に不安を抱かせた中国産冷凍ギョーザによる中毒事件は、その毒物が製造や流通の過程のどの時点で、なぜ混入したのか、その真相は明らかにされていない。
 それだけに各新聞はこの1カ月の間、連日のように多くの紙面を割いて報道を続けてきた。もちろん食の問題は人命にかかわることだけに真相を究明し原因を明らかにして頂かなければならない。2月の初めのころは厚生労働省には「中国産冷凍食品を食べても大丈夫か」などの問い合わせが相次いだという。
 現在も毒物混入の真相がつかめていないため、中国産冷凍ギョーザの安全性に疑問を持つようになってくるのも当たり前の話で、消費者は自己防衛のためにも自分の食べる食品は自分で作ろうという機運が高まったのだろうか、このところギヨーザを作る機械がよく売れているという。またギョーザの材料の「ニラ」も最近売れゆきがいいらしい。このこと自体は食の安全を考える上で重要なことである。
 消費者もまた値段の安さばかりを追求するのではなく安全のためコストを負担することも覚悟すべきであろう。それにより業者はもっと安全を確保することに意を注ぐことができるようになるのではないかと思う。 同時に私たちは食糧自給率の向上についても考えてゆく必要があるだろう。小さな土地でも家庭菜園などにも活用できる。
 私たちは戦中・戦後と、食糧難の時代を経験し、それを乗り越えてきた。戦後の高度経済成長の時代は農村の働き手が奪われ、さらに減反政策と耕作放棄によって日本の食糧の自給率は40%を割り込んでしまった。減反と耕作放棄の面積は埼玉県の面積にも匹敵するという。
 私たちは自分たちが消費する食糧を生産し自給することができない国民になってしまったようだ。大災害が起きた時、どうするのだろうか。
 かっての多摩地域の住民は90%以上の自給率を確保していた。多くの田んぼや畑をつぶして作られた多摩ニュータウンには、いまもって使われていない土地が無数に残されている。これらを「都市菜園」として利用できれば街に潤いが生まれ、食糧自給にも役立つと思う。 080301号掲載

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