Shifoこと岩水志保さん(多摩市豊ヶ丘)、国立音楽大学ピアノ科を卒業後OLをしていたが、27歳の時音楽で生きたいと「stand by me」のバイトに。1日3600円のバイト代につられスタッフになったものの、そこは“とんでも”店だった。マスターのクーペさんは酒癖悪く、糖尿病で働かない。借金取りに追われサウナ暮し、人相もおっかないから、一見さんのお客はビビッて店に入ってこない。たまにお客が来ても注文された品をその度コンビニに仕入れに走り、支払いに1万円札を出されると釣銭も両替に走る。当然店は赤字続き、何度も潰れかけた。
「やめなさい!」「やめよう…」。しかし、師匠クーペさんの才能、憎めない人柄、夢を信じ叶えようとする力に強く魅かれた。クーペさんもShifoさんのピアノの技量と曲づくりのセンス、そして心に沁みるハスキーな歌声、類い稀な才能を高く評価していた。「クーペ&Shifo」のユニットが生れた。2人の夢に賭ける情熱が人を呼び、奇跡を起こす。スポンサーになってくれる店のお客や、またお客同志が持ち出しでバンドを結成し、定期的にライブも。この“親父バンド”も昨年国立一橋大学兼松講堂でデビューを果たした。林家三平門下で弟弟子だったやはり“落伍者”のらぶ平さんも、クーペさんの頑張りに触発されて再起に賭ける。「多摩おこしも人おこしも同じ」と地域の人たちも応援してくれ、アウラホール(桜ヶ丘)でのコンサートや地域のチャリティコンサート、老人ホームなどにも声がかかるようになった。2006年Shifoさん提供のmihimaru GTの「気分上々↑↑」はレコード大賞作曲賞金賞を受賞という快挙。昨年8月には東京フォーラムのステージにも立った。11月には「がんばらないで」「店においでよ」でテイチクからメジャーデビュー。
一通の手紙から劇的な再開を果たした娘・幸江さんも上京して父をサポートすることに。28年ぶりに新たに父と娘として向き合う生活が始まっている。
Shifoさんは音楽プロデューサーとしても活動の場が広がった。クーペさんとShifoさんの夢を信じる力が数々の奇跡を呼び起こした。桜ヶ丘の賑やかな通りを一歩入った路地にある小さなライブバー「stand by me」。ここは奇跡の起きるスポット。クーペ&Shifoの待望のNHKホールでのライブコンサートは4月13日18時。 080301号掲載
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