【21】パルテノン多摩(3)高すぎた楽器購入費 不透明な仕事の横行した時代

 今年も11月3日(文化化の日・祝日)と4日(振替休日)を中心とする多摩市民文化祭でパルテノン多摩も活気づく。これを眺めながら出来事の一端を探ってみよう。
☆ホワイエと特注作品
 大ホール・小ホールの外側にあるロビーの空間をここではフランス語でホワイエと呼ぶ。設計者が図面上に記入していた名称がそのまま定着したらしい。
 まだ施設は工事中だった。市はホワイエや会議室の備品を検討しここには特注の作品を備えようと考えた。 これに対し昭和61年(1986年)6月の市議会では、特注する理由、決定の参画者、購入先との交渉などの質問が保守・革新双方の議員から執拗に行われ、市側は文化芸術性、デザイン的要素が必要と説明して市議会を乗り切った。 いま大小ホワイエの壁面にあるオブジェや造形された椅子などの作品価値は別として、開発途上のこの地域で「文化・芸術」の言葉は水戸黄門の印籠的魔力を発揮し始めていた。
☆杜撰な経理処理
 昭和61年12月から日本は一気にバブル景気の拡大期に入る。市税は増収で裕福な時代だった。
 施設を運営する文化振興財団について、平成2・3年度(1990・91年度)を検査した市の監査委員は、市の補助金に対する書類不備や紛失、特定業者を選定する業務委託、同一地方への宿泊を伴う頻繁な出張、見積書を取らない発注などの欠陥を指摘し、財団の杜撰な経理が新聞種になった。
☆自動演奏機の購入
 さらに大きく報道されたのは自動演奏機の購入価格問題だった。
 いま4階のマジックサウンドルームには8台の自動演奏機がある。公開されてパンフレットもあるから機器の詳細と芸術品か単なる骨董品かの価値判断には触れない。
 市は当初から「世界的文化財産を」と謳い都内の業者を通じて昭和61年、平成元年、2年、3年と続けて8台の演奏機を購入した。いずれも1千万円から1億2千万円の高額で総額約4億円に上った。
 ところが海外でも国内でも市場価格とは総額で約2億円の相違のあることに疑念を持った当時の山本治史市議の指摘により、平成5年3月の市議会で価格問題が表面化した。
 疑惑の大筋は、市の購入担当者は規定に反して複数業者からの見積書をとらず、取引した一業者の見積書には高額を説明する項目別の明細も記入されていない。さらに奇怪なのは、取引業者は市の仕事を紹介してくれた別業者に「売上げの10~15%を支払った。これが高値に跳ね返ったのでは」と証言しているのに対し、別業者と市の購入担当者は「事実無根」と全く反対の弁明をしていることだ。 平成5年3月、市議会にはパルテノン多摩の業務委託や楽器購入問題をめぐる調査特別委員会が発足し、委員長に鈴木邦彦市議(前多摩市長)が就任して真相解明に当たることになった。

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