筆舌 横倉舜三 ~市民の手による映画製作の意義は大きい~

 “新しい街”といわれてきた多摩ニュータウンも、多くの人たちが自分のふるさととして今見直そうとしている。
 その動きの一つが市民によるドキュメンタリー映画の製作である。
 この映画を企画した最大の理由として「私たち住民の生き生きとした活動を発信し、ふるさとへの熱い思いをいろいろな世代の人と分かち合いたい」と製作委員会は語る。
 最初の入居から36年が過ぎて街の現状はどうなっているのか、住民自らがこの街を再認識することから始めようとしているのだ。
 開発初期の地区では高齢化が進み、独居老人や若者の流出が目立ち、一方で団塊の世代が地域に戻りつつある。
 住宅は高層化や建て替えでの問題も起きている。急速な車社会への変化により商業の大型拠点作りが進み、中小零細商店の衰退も起こっている。
 女性などにとっても近くに職場が少なくなり経済的な恩恵も得にくくなったと嘆く、また地域の問題に対する責任を持つ者の不在の時代が続いている。
 古い地域組織に代わるコミュニティをどうやって再生していくか、課題は山積している。
 これらの課題にどう取り組んでいるのかまたどう解決していくのか、映像で全国に発信していこうとしていることの意義は大きい。
 これまでの開発は官主導によるもので住民はいわば受身の姿勢で推移を見守ってきた。
 しかし官は街をつくって街から去り、その後も住民はこの地で暮らし続けていかなければならない。住民自らの手による今回の映画製作は地域が自立に向かって新たに歩み出したことを意味している。
 製作に当たって住民が知恵や労力そして資金を出し合って作るところに意義があると思っている。
 自分が住む街のために役立つことをしたという思いが、愛する街多摩ニュータウンの再生へとつながる。
 だがなんといっても完成させるためには製作費の捻出が大きな課題。
 文化庁などからの助成金を見込んではいるものの多くは住民の方々の援助協力によるもので、製作委員会は協賛者の参加を呼びかけている。 071201号掲載

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